終幕が近づいてきたパリ五輪。今回は、「地球にやさしいオリンピック」をテーマに開催されたが、現地では選手村への不満が続出しているーー。
「まず、盛夏の開催にもかかわらず、選手村にエアコンがない。床下に地下水をくみ上げて室温を下げるシステムのようですが、そもそもパリ市民は7月、8月は避暑地にバカンスに行くくらい、パリの街は暑いのです。そしてこの“新システム”では、室温が下がらず、窓を開けると羽虫が飛んでくるそうで、まったく睡眠時間が取れないという苦情が出ています。
【関連記事:「裸に見えた」パリ五輪開会式・NHK女子アナのファッションが物議…過去の “穴あきニット” であざとさ疑われる理由】
そして何より不評なのが食事ですよ。“まずいうえに量が少ない”という評判で、これも温室ガス対策でなるべく火力を使わずに、植物由来の食品や野菜、地元食材を使っている影響だそうです。ただ、競技で大量のカロリーを消費するアスリートにとって、本当に正しいことなのか疑問ですよね」(現地紙記者)
8月6日に放送された『news23』(TBS系)では、こうした選手村への高まる不満を特集した。しかし、同番組に出演したIOCマーケティング委員の田中ウルヴェ京氏は、
「食堂に不満がない大会ってあったかな」と語り、これまでも各競技団体がそれぞれに食材を用意するなどして、選手村の食事対策を行っていたことを明かした上で、
「ご飯を楽しむために行っているわけではないので、というのが選手の立場ではある」
と、選手村の体制を“擁護”したのだ。だが同番組について報じるYahoo!ニュース記事のコメント欄には多くの“異論”が寄せられた。
《アスリートのフィジカルもメンタルもサポートできる内容の食事を、いかに環境に配慮して用意できるかがオリンピックのホスト国側の仕事でしょうよ》
《おいしい美味しくないのレベルではなく、現実に食事が足りないと選手が訴えている》
《IOC委員ならむしろ「今後の課題」として捉えるべき問題》
《選手ファーストで大会運営をするのは当然の事》
「当初は、24時間、3500人分の食事を500種類も用意するという計画でした。しかし実際にパリ五輪で最初に発表された選手村のメニューは、シリアルと、クロワッサン、そして野菜スープという“質素”なものでした。ここから不安の声が出ていたわけですが、まさにその不安が的中した形です。
パリ市から250キロ圏内で採れた食材だけを使い、メイン料理の3分の1を植物性にするなど、環境配慮への傾斜がどんどん進んだことで、現実的にどうやって供給するのか、選手の満足度は、といった観点が置き去りにされていきましたね」(同前)
“残念すぎるパリ五輪”に対し、比較されるのが3年前の東京五輪だ。
「連続出場を果たした複数の選手が、東京五輪のほうがよかったと証言しています。じつは、選手村の快適さに徹底的にこだわるようになったのは、1964年の東京五輪から。当時は、食事も最高のものを提供すべく、帝国ホテルを始めとする料理長に加え全国から若手の料理人を招集。悪戦苦闘しながらメニューを練りに練ったのです。この伝統は2021年の東京五輪にも受け継がれ、700種のメニューを問題なく提供できました。まさにおもてなしの心があってこそです」(五輪関係者)
五輪がアスリートの祭典ではなくSDGsの祭典というのなら納得できるけど……。
( SmartFLASH )