これが最後の“岸田サプライズ”なのだろうか。8月14日、岸田文雄首相が突然、「自民党総裁選不出馬」を表明した。
これにより、岸田内閣を支えてきた茂木敏充幹事長、高市早苗経済安全保障相、上川陽子外相、河野太郎デジタル相、林芳正官房長官らも“くびき”が取れて、立候補しやすくなったといわれている。
「現職が出馬しない総裁選は混戦になることが多いのですが、今回はさらに石破茂元幹事長、小林鷹之前経済安全保障担当相も出馬の意向を示し、小泉進次郎元環境相も出馬を匂わせていますから、大乱立は確実です。すでに立候補に必要な推薦人20人の獲得に動いている陣営もありますが、なかには『立候補者が多く、確保が難しい』と嘆く陣営もあります」(自民党関係者)
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そうしたなか、勝敗の鍵を握るのは「麻生派」と言われている。岸田首相は2024年1月、派閥パーティー裏金事件の背景には派閥があるとして、自らが会長を務めていた「宏池会(岸田派)」の解散検討を宣言した。
そこから、雪崩を打つように各派閥が解散宣言をしたのだが、「志公会(麻生派)」だけは政策集団として存続。現在は、54名の議員がメンバーとして名を連ねている。
「派閥という、よりどころがなくなった議員はそれぞれの思惑で投票するので、投票行動がまったくわかりません。しかし、麻生派は“親分”の麻生太郎副総裁が『推し』を決めれば、一致結束するはずです。そのため、各候補者は喉から手が出るほどこの『54票』がほしいのです」(同前)
そうしたことから、各議員の「麻生詣で」が活発になっている。
岸田首相の総裁選不出馬会見と同じ日の夜、麻生氏と茂木氏が都内のステーキ店で会食。ふたりは6月14日にも、麻布十番の和食店で会合を持っている。
麻生派に所属している河野氏も、6月26日に続き、8月9日に赤坂の日本料理店で麻生氏と会い、総裁選出馬への地固めをしたとされている。
「こうした表立った動きとは別に、立候補するとみられる議員の側近たちが、麻生氏にアプローチしています。麻生氏が誰を推すかを明言していないこともあり、候補者は今後も、麻生氏の動きに一喜一憂すると思います」(政治担当記者)
自民党の渡海紀三朗政調会長は8月2日、記者団に「派閥の数合わせをやったら、自民党は終わる。やってはいけない」と語ったが、派閥頼みは変わらないようだ。
Xでも《総裁選の度に出てくる麻生派(笑)》《自民党総裁選ではキングメーカー気取りの麻生太郎氏》《派閥なき総裁選というけど、麻生派は残ってるよ》など、「うんざり」のポストが目立った。
会見で、岸田首相は後任について「政治とカネの問題について、一連の改革マインドが後戻りすることがないような方であってもらいたいと感じている」と語っていたが、その思いは受け継がれるのだろうか。
( SmartFLASH )