自民党総裁選で、立候補に推薦人が必要となったのは1972年のこと。以来、最多となる立候補者は2008年と2012年の5人だったが、今回は11人が立候補に意欲を見せるなど、史上最多の大乱戦になりそうな様相だ。
そうしたなか、いち早く推薦人20人を集め、8月19日に立候補表明をしたのが “コバホーク” こと小林鷹之・前経済安全保障担当相(衆院4期)である。
「若手からの待望論が強い小林氏の会見には、かつての派閥に関係なく、当選1期から4期を中心に30名ほどの衆参議員が駆けつけました。
会見で小林氏は『脱・派閥選挙を徹底する。自民党は生まれ変わる』と強調していましたが、総裁選を勝ち抜くには、今後いかにして知名度をあげるかが課題になると思います」(政治担当記者)
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その不安材料を払拭するため「誰よりも早い出馬表明」になったようだが――出馬会見と同日に出演した『プライムニュース』(BSフジ)では、時間差で出演した立憲民主党・辻元清美参院議員から「あんまり印象深い人ではなかったので。いままで影が薄かったというか」と苦笑されていた。さらに「パーティー好きで年に何回もパーティーやってはるんですよ。2カ月に1回ぐらいパーティーやってる」「彼は保守でもないですよ。私は中曽根(康弘)さんや筋金入りの保守の人を見てきたけど(小林氏は)ちょっと軽いよね」とバッサリ。
小林氏は、20日にも『大下容子ワイド!スクランブル』(テレビ朝日系)に出演。すでにメディア戦略を徹底させているが、周辺は「小泉進次郎氏の出馬」にヤキモキしているという。
自民党関係者は、“コバホーク” の選挙戦をこう危惧していた。
「小林氏は遅れをとっている党員票の掘り起こしのため、世代交代を前面に打ち出す考えでした。しかし、小林氏より若い、しかも知名度抜群の小泉氏が出馬すれば、マスコミも集中して取りあげますから、埋没する恐れがあります」
しかも、小林氏を推すのは選挙に不安がある若手。新首相は就任後すぐ衆院解散、総選挙に持ち込むと見られているので、若手や中堅議員は選挙に当選するためにも、なおさら小泉氏になびく可能性が高い。
そこで小林氏は、「決選投票に残れなければ、小泉氏に投票する」という戦略をとるようだ。
「1回めの投票で過半数をとる候補者はいないでしょう。そうなると、上位2名の決選投票になります。そのとき小林氏は、保守政策では隔たりがあるものの、小泉氏援護を表明するはず。いわば、小林と小泉の『小小』連合です。
自民党は伝統的に、当選した人への貢献度に応じてポストをあてがう “論功行賞” を重んじますから、小泉政権が誕生すれば小林氏は大臣や党三役の要職に就けると考えられます。
それは、小林氏を支持した議員にも及びます。小林氏の起用は新政権にとっても刷新感が強調できますし、財務省出身の小林氏は小泉氏に比べて政策立案能力があるので、政調会長もあり得ます」(ベテラン政治記者)
早くもささやかれ始めた「総裁選後」の動向。「小小連合」が「小粒と小粒の連合」にならないとよいのだが。
( SmartFLASH )