8月19日、NHKラジオ国際放送のニュースで、関連団体の契約スタッフが「尖閣諸島は中国の領土である」と発言した “放送事故” の余波が収まりを見せない。
「問題の発言をした中国籍の契約スタッフは、およそ20年前からこの団体で働いていた40代と聞いています。日本語で書かれた原稿を中国語に翻訳して伝える業務を担っていたということで、靖国神社の石柱や石の土台に落書きされた事件を伝えた直後、当該の発言をしました。もちろん、もともとの原稿にはそうした表現はありません」(週刊誌記者)
NHKはすぐさま火消しに走り、同日の『ニュースウオッチ9』でも林田理沙アナウンサーが経緯を説明して「ニュースとは無関係の発言が放送されたことは不適切であり、深くお詫び申し上げます。再発防止策を徹底します」と謝罪文を読み上げた。NHKは関連団体に厳重抗議し、団体はスタッフの契約を解除。また、発言をした中国人に刑事告訴、損害賠償請求する方針を決めたとも報じられている。
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22日には、NHKの稲葉延雄会長が陳謝をして、中国人スタッフの発言内容が英語で「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな。彼女らは戦時の性奴隷だった。731部隊を忘れるな」、中国語で「釣魚島(尖閣諸島の中国語名)と付属の島は古来、中国の領土です。NHKの歴史修正主義とプロフェッショナルではない業務に抗議します」だったことを明らかにした。
このスタッフについて、局内では「NHKで得た情報を中国に流すスパイだったのではないか」という疑惑も起きたが、ここにきて、新たな事実もわかってきた。
「問題発言に最初に気がついたのは、放送に立ち会っていた別の中国人スタッフです。発言を聞き、彼はとても驚いていたということです。局の上層部は早々に『政治的な背景を確認できなかった』としましたが、その一方で、発言をした中国人スタッフが関係する部署には『過去に遡って、職員のログイン情報などを調べるように』と指示が出たそうです。『念のため』ということらしいですが、やはり不安材料があるのではないでしょうか」(ベテランNHK職員)
ついに “スパイ調査” に乗り出したNHK。こうした問題の背景には、国際放送の「日本語翻訳は外国人スタッフ頼み」という問題があるようだ。
「日本語の原稿を外国語に翻訳するため、AIなどの翻訳ツールも使うものの、やはり外国人スタッフに任せることが多くなります。そのため、微妙なニュアンスが違ったりすることはあります。
紛争の報道をするとき、放送内容は日本政府の公式見解を基本にします。たとえばロシアのウクライナ侵攻ではウクライナ寄りになります。ところが、スタッフのなかにはロシア人もいるため、気が重いのではないでしょうか。実際、複雑な表情で原稿に向かっている姿をよく見かけます」(同)
図らずも、国際放送の課題が明らかになった問題発言だった。
( SmartFLASH )