自民党の茂木敏充幹事長が、9月の自民党総裁選に出馬する意向を固めたと、8月24日、複数の旧茂木派議員が明らかにした。前日の23日、若手議員の会合に出席した茂木幹事長は、総裁選については、「近々、自分として決断をしたい」と、語るに止まっていたが……。政治担当記者が語る。
「『近々、決断する』という妙な言い回しだったのは、推薦人の確保に苦慮しているからです。旧茂木派は40人いたはずですが、もともと、“アンチ茂木”が半分いますから。確定的なのは10人程度です。
自派閥の加藤勝信元厚労相が出馬に色気を見せているのは想定内として、さらに小渕優子選対本部長が、齋藤健経産相の推薦人になる動きがあるのは意外だったと思います。
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小渕氏は派閥の象徴的な存在です。小渕氏が数人も斎藤陣営につければ、旧派閥内での推薦人の確保は絶望的です」
もともと、岸田文雄首相を支える幹事長という要職にありながら、ポスト岸田を狙っていることを隠す様子もなかった茂木氏。岸田首相の後を狙う基本戦略は、麻生太郎副総裁の支持を取りつけることだったという。実際、岸田首相が総裁選への不出馬を表明した当日の14日、銀座のステーキ店で麻生氏と食事をともにしたことは、すでに報じられてもいる。
先の政治担当記者がこう続ける。
「食事の後、茂木氏は酔っている様子もなく、淡々と『予定していた食事会だった』とだけ話して、迎えの車に乗り込みました。麻生氏から支援を断られたことは、すぐに周辺から伝わりましたよ。岸田首相の派閥解散に追従して茂木派の解散をしたことが、麻生氏の逆鱗に触れたようです。
たしかに、裏金事件を起こしたのは旧安部派と旧二階派と旧岸田派。茂木派は麻生派と同じで、派閥維持はできたはずですからね」。
候補者が乱立気味とはいえ、ポスト岸田の一番手と目されていた茂木氏の場合、不出馬となれば政治生命にかかわる重大インシデントになり得る。そこで頼ったのが、いまや麻生氏と並ぶキングメーカーとなりつつある、菅義偉(よしひで)前首相だった。
「無派閥の菅元首相なら、10人くらいの推薦人は都合がつくはずです。しかし、今回は1回めの投票で決まらず、決選投票になるのが濃厚。茂木幹事長が残れる可能性はかなり低いでしょう。そして決選投票では、推薦人を貸してもらった手前、菅元首相の意向に沿った候補者に投票することになります。つまり、小泉進次郎元環境相です。茂木幹事長にとって、これほどの屈辱はありませんよ」
茂木氏の総裁選は苦難の道になりそうだ。
( SmartFLASH )