立候補に意欲を見せる議員が10人を超えるなど、混沌を極めている自民党総裁選(9月27日投開票)。
8月19日に小林鷹之前経済安保担当相、24日に石破茂元幹事長、そして26日には河野太郎デジタル担当相が立候補を表明。今後も小泉進次郎元環境相、林芳正官房長官、茂木敏充幹事長、高市早苗経済安保担当相らの立候補表明が予定されている。
本格論戦はこれからだが、各候補が頭を悩ませるのが、自民党派閥パーティーの裏金事件にからむ、「裏金議員の処遇」である。
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「小林氏は出馬会見で『実態がよく分からない』『検察当局が調べる中で不起訴処分となった』『自民党の調査には限界がある』など、裏金事件の解明に消極的ととられる発言をして、世論の批判にさらされました。
石破氏も出馬会見で、裏金議員を選挙で公認するかについて『公認するにふさわしいかどうか、徹底的に議論すべきだ』と発言して安倍派の猛反発にあい、翌日には『新体制で決めることだ。まだなっていない者が予断を持っていうべきではない』と一気にトーンダウンしました」(政治担当記者)
裏金事件では39人が党内処分を受けただけに、これらの議員を「干す」ような発言をすれば議員票が集まらず当選がおぼつかない。しかしこれらの議員に「迎合」すると刷新を期待する党員票が入らない。裏金議員は非常に厄介な存在になっている。
そうしたなか、出馬を正式に表明した河野氏の発言が波紋を呼んでいる。河野氏は、政治資金収支報告書に不記載があった議員に対して「不記載額と同額を国庫に返納してもらうことで、ケジメとして前に進んでいきたい」と発言し、返納が衆院選挙での公認の条件としたのだ。
「国会議員による国庫納付は寄付行為にあたるため公職選挙法で禁止されてきました。しかし6月に改正された政治資金規正法で、収支報告書に『不記載・虚偽記入』の不備があれば国庫に納付できる特例ができたため可能だとは思います。ただ、茂木敏充幹事長は27日の記者会見で『過去に遡及(そきゅう)することはなかなか難しい』と答えていたので、実現は難しいと思います。
そもそも、“裏金”が世間に発覚した段階で処罰を受けるべきなのに、『返納をもってチャラにする』という意図が河野氏の発言から読み取れます。これでは旧態依然とした“裏金体質”からの脱却からは程遠いでしょうね……」(同前)
Xでも同様に、河野氏の「返納してケジメをつける」の発想に批判が続出している。
《この理屈だと万引きがバレた時返したらOKって事になるよね。捕まえろよ》
《ケジメつけるなら辞めるしかないでしょうが》
《金を盗んでも返せば良い。 さすが河野太郎だ》
《どこに返すんだよ。脱税だろが》
本当に党内改革ができるのか、疑問符がつく候補者ばかりの自民党総裁選だ。
( SmartFLASH )