8月26日、石川県の馳浩知事は記者会見で、これまで約2万2000棟としていた被災家屋の解体数を、実際の被災棟数や解体申請棟数の推移などから1万棟余り増加して3万2410棟になると発表した。
「知事は併せて『解体見込棟数は増えたが、解体完了は引き続き来年10月を目標とし、今年の12月末までに1万2000棟の解体完了を設定した』と述べましたが、8月19日時点の解体完了数は申請数の10%に過ぎない2722棟。計画通りに完了すると思っている県民は皆無ではないでしょうか」(社会部記者)
遅々として解体が進まない背景には「解体業者不足」がある。自治体は解体業者を選定するため、煩雑な書類手続きなどが必要になるのだという。そのため、業者も敬遠することが多いとみられている。
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そこで馳知事は同日の会見で、公費解体と自費解体を両輪で進める方針をぶち上げた。
「これまでも自費解体をする被災者はいましたが、解体数全体のおよそ15%でした。『自費』という言葉から『自己負担』と思い込んでいる方も多いようですが、実態は少し違います。
自費解体は、被災者が自分で解体業者を見つけ、解体費用を立て替えます。そして後日、市町から払い戻しを受けるのですが、公費が受けられる解体部位は意外に複雑なんです。
例えば、リフォームを前提にした一部解体や地下室、ブロック塀、庭石などは公費撤去の対象外です。そのため、業者から取った詳細な見積書を、事前に自治体の窓口に見せて相談することが必須になってきます。そうしないと、被災者が予期しなかった自己負担が生じてしまう可能性があるからです」(同前)。
しかし仕事を失った被災者も多く、生活に余裕はない。「立て替えた解体費用は、いつ払い戻しをしてくれるのか」という被災者の不安の声が聞こえる。
「払い戻しは、申請を受け付けた日から概ね2カ月以内とされています。しかし自治体だけでは解体内容の判断ができず、コンサルタントが入るケースもあるようですから、遅れることがあるかもしれません」(週刊誌記者)
馳知事は会見で「自費解体という言葉面で、何で自分の金で解体するのかと、こういう印象を持たれがちであります。私はしょっちゅうお叱りをいただいているんですが、あとでちゃんと公費解体と同じように払いますよ、あとで」と、市井の人々の勘違いについて語気を強めている。
しかし、単なる勘違いでは済まないのがこの「自費解体」だ。被災者は、一時的に自分の財布から大きな額が失われることになるからだ。こうした施策に関して、Xでは怒りの声が多く投稿されていた。
《公費解体と同じ金額で、自費解体は受けてくれないよ。割高でも全額払ってくれるんだろうね?》
《原因は人手不足だと聞いてたけど、お金の出どころを変更しても意味ないのでは?》
《どうして他県から応援を頼まないのか どうにも 理解し難い現状です》
被災者の負担がどんどん増えていく馳県政。被災地に希望が見える日は来るのか――。
( SmartFLASH )