9月12日の告示を前に、自民党総裁選(9月27日投開票)の対立構図がほぼ、固まってきた。
「すでに小林鷹之前経済安保相、石破茂元幹事長、河野太郎デジタル担当相が立候補を表明していますが、今後、茂木敏充幹事長、林芳正官房長官、小泉進次郎元環境相、高市早苗経済安保相が相次いで立候補表明するものと確実視されています。総裁選はこの7人を軸にして進められるでしょう」(政治担当記者)
大混戦の様相だが、そうしたなか報道各社の緊急世論調査が発表され、「次の総裁にふさわしい人物」に関して変化が生じている。
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これまで有権者の支持は石破氏がトップだった。しかし、8月21、22日に日本経済新聞社とテレビ東京がおこなった調査ではトップが小泉氏(23%)で2位が石破氏(18%)になり、24日、25日の産経新聞社とFNNの調査でも小泉氏(22・4%)、石破氏茂(21・6%)の順になっているのだ。
政治アナリストの伊藤惇夫氏が本誌取材に「世論調査の結果は『認知度調査』でもあるので、マスコミに多く取り上げられている議員が上位にくることが多い」と語ったように、テレビ局はこのところ、サーフィンをしたり、浴衣姿で夏祭りに参加する小泉氏を盛んに映し出している。自民党議員秘書が、総裁選の現状をこう語る。
「この勢いのままだと、党員票も石破氏の得票を超える可能性も高い。しかし永田町の見立てでは、いずれの候補も1回目の投票で過半数を超えず、上位2名の決選投票になるとされています。そうなると国会議員票が重みを増すため、石破氏を嫌悪する麻生太郎副総裁が率いる志公会の54票は河野氏支持から小泉氏にまわるでしょう。小泉氏有利の展開になる」
しかし「小泉進次郎総裁・総理大臣」に不安を持つ自民党議員も多いという。
「入閣は環境相の1回だけで、党三役などの要職にも就いていないため圧倒的に経験値が低い。また、総裁選では立候補者の討論会がありますが、小泉氏は言葉に詰まったり『小泉構文』『ポエム』などと呼ばれるように、意味不明なことを口走る可能性もある。そうした事態に不安を抱き、支持離れを起こす可能性もあります」(ベテラン政治担当記者)
そこでささやかれ始めたのが「チームで“小泉首相”を支える」というプランだ。
元衆議院議員の金子恵美氏は28日放送の『めざまし8』(フジテレビ系)で、「小泉陣営を若い優秀なブレーンが支えている」として「トップが多少頼りなくても、周りに優秀なスーパーチームができていれば、仮に小泉内閣ができても期待できるのでは」と語っている。元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏も28日放送の『旬感LIVE とれたてっ!』(関西テレビ)で「小泉さんの武器は菅さん(前首相)の全面支持。菅さんは官僚組織を動かすのは、本当に長けているから、小泉さん一人でやるのは無理だけど、チームでやれば問題ないと思う」と言及した。二人とも、「“小泉総理”だけでは頼りなくとも、周囲がサポートすれば何とかなる」という趣旨の発言をしているのだ。そんな頼りない人物が総理大臣でいいのかとも思うが、前出政治記者はこういう。
「自民党では古くから『担ぐ神輿(総理総裁)は軽いほうがいい』と言います。実力者が裏で総理総裁を操る二重権力構造の時期がありました。長老議員にウケがよく、党内に波風を立てないことで知られる小泉氏がトップになったら、神輿はさらに軽くなり、“担ぎ手”は思い通りにできるのではないでしょうか」
国民からすれば、「重量級の内閣」を期待したいところだが……。
( SmartFLASH )