社会・政治
北朝鮮と韓国が争った「チョコパイ」合戦は韓国が圧勝
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2017.12.21 11:00 最終更新日:2017.12.21 11:00
北朝鮮は地下核実験やミサイル発射では韓国を威圧し、日本やアメリカをきりきり舞いさせているが、お菓子の製造技術に関しては、韓国の足元に遠く及ばないことが明らかになった。
ことの発端は、北朝鮮から命がけで韓国に脱走してきた若き兵士の一言。北朝鮮の国境警備兵から40発の銃弾を浴びせられ、緊急搬送された韓国の病院で何とか一命を取りとめたわけだが、意識が戻って最初に発した言葉は「ここは南か? チョコパイはあるか?」だった。
実は、北朝鮮では韓国のチョコパイが大人気なのである。かつて、ケソン工業団地の韓国企業で働く北朝鮮の5万を超える労働者たちは、残業手当を現金でもらう代わりにチョコパイを受け取っていた。
というのは、韓国製のチョコパイは美味しいため、北朝鮮では高く売れたからである。北朝鮮の闇市ではチョコパイ1個が当初は100円ほど(日本円換算)で取引されていたが、徐々に値が上がり、あっという間に200円に。そして2014年にはついに1000円を突破したという。言い換えれば、韓国製チョコパイは通貨と同じ役割を果たしたのだ。
あまりの人気の沸騰ぶりに、金正恩委員長から「けしからん。韓国のお菓子に惑わされるとは。わが国でも同じものを作れ!」との号令が出された。
そこでまずは北朝鮮の衛生管理部門では「韓国製のチョコパイは化学物質が含まれており、健康に害がある」と説明。闇市からすべての韓国製のチョコパイが没収された。
その後、北朝鮮の菓子メーカーが独自にチョコパイの生産を始めた。その名は「チョコライスケーキ」。金正恩委員長自らがその生産工場を訪れ、「これこそ祖国の味がする」と絶賛したという。
ところが、カカオの調達が難しいお国柄のせいか、出来上がったチョコパイもどきは形も味も今一つ。北朝鮮ではまるで売れないどころか、在庫の山になってしまった。
脱北した若き兵士は、本物のチョコパイの味が忘れられず、思わず口を突いて出たのであろう。この発言を聞き、韓国のチョコパイのメーカー「オリオン」からは「生きている間はチョコパイをいくらでもプレゼントします。心おきなく召し上がって下さい」との申し出があった。さっそくチョコパイ100箱が病室に届けられた。
脱北した兵士は夢に見たチョコパイを口にしながら、自由の味を満喫しているようだ。
兵士は、今では「退院した暁には韓国で法律の勉強をしたい」との夢を語っているという。彼の名前はオ・チュンスンといい、24歳。体内から大量の寄生虫が見つかったことで一躍有名になったが、将来は韓国で弁護士を目指すという。
とはいえ、北に残してきた両親、特に公安部門に籍を置いていた父親の処遇には気をもんでいるに違いない。残してきた家族を思うと、夢にまで見たチョコパイの味も、かなりホロ苦いかもしれない。(国際政治経済学者 浜田和幸)