9月21日午前9時すぎ、岸田文雄首相は、日本と米国、オーストラリア、インドの枠組み「クアッド」首脳会議や国連「未来サミット」などに出席するため、裕子夫人とともに政府専用機で米国に向け出発した。
その2日前の19日、岸田首相は、1月1日に震災に見舞われた石川県を訪問していた。能登半島地震で発生した火災で大きな被害を受け、ほぼ消滅してしまった輪島市の朝市通りや、液状化が起きた、かほく市と内灘町を視察した。
政治担当記者はこう話す。
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「岸田首相は、輪島市で地場産業の関係者たちとの車座対話に先立ち、輪島塗の仮設工房に立ち寄りました。そこで、輪島塗伝統工芸士から『地元住民は着実に復旧、復興が進んでいると実感しています』などと言われ、サインを求められた首相は、工房内の棚に『頑張りましょう!! 内閣総理大臣 岸田文雄』とサインしました」
ところが、21日午前10時50分。岸田首相が日本を飛び立った直後、気象庁は、能登半島地震の被災地である石川県輪島市、珠洲市、能登町に大雨特別警報を発表。
石川県は21日午後、珠洲市で1人が死亡、復旧工事中だった輪島市のトンネル工事現場で土砂が流出し、作業員3人が行方不明になっていると発表した。22日も引き続き大雨が続き、正午までの72時間の雨量は、輪島市で505.5mm、珠洲市で401.5mmと、平年の9月1カ月分の雨量の2倍あまりに達したという。22日午後の時点で、行方不明者は6人となっている。
この事態に、自民党総裁選に立候補している林芳正官房長官は、災害対応に専念することに対応を切り替えざるを得なかった。前出の記者はこう話す。
「林氏は、21日午後に自身のXで当面の公務優先を表明しました。岸田首相が日本にいないわけですから、当然の話でしょう。むしろ遅かったという声も出ています。林氏は、22日の朝7時30分から始まった『日曜報道 THE PRIME』(フジテレビ系)と朝9時からの『日曜討論』(NHK)を欠席し、推薦人代表の田村憲久元厚労相が代理で出演しました」
そうしたなか、能登半島地震の被災地を視察した直後に、予想された大雨被害を考慮せず、米国へ飛び立った岸田首相に対して、Xでは非難轟々の状態となっている。
《呆れた。岸田は能登半島・輪島の洪水よりも自分の卒業旅行優先だとさ。今から行っても「思い出作り」以外に何の意味もないのに》
《能登半島がこんな酷い状況なのに、岸田首相は「人命第一で全力で取り組む」なんて言っておきながら、卒業旅行(外遊)を最優先したとんでもない野郎だ。これが自民党の本質だ。絶対忘れてはいけないし、許してはいけない。》
《きのう岸田首相が訪れて「頑張りましょう」と、お気楽に揮毫した能登地方が大変な災害に遭ってますよ。夫婦でアメリカに卒業旅行してる場合じゃないでしょ!》
《戻ってこい!メローニ首相はサミットの途中でも母国が水害というと帰国したぞ。同じ保守でも大きな違いだな》
《国内で災害が起きている時に税金で卒業旅行か。国民から税金を取るだけ取り何かあっても助けないんですね。任命より自分の遊びが優先。卒業旅行から永久に帰らなくていいから》
9月27日には自身が出馬しない自民党総裁選が控えており、首相の立場もわずかな期間になっているなかでの「外遊」も批判が大きくなっている理由のひとつのようだ。
また、「首相は被災地を軽視されてもおかしくない」と、前出の記者は、こんな“時系列”を指摘する。
「気象庁が石川県輪島市、珠洲市、能登町に大雨特別警報を発表したのが、9月21日午前10時50分でしたが、実はその前の21日午前9時7分に、金沢地方気象台は『顕著な大雨に関する石川県気象情報』を発表しています。
《能登では、線状降水帯による非常に激しい雨が同じ場所で降り続いています。命に危険が及ぶ土砂災害や洪水による災害発生の危険度が急激に高まっています》という内容です。
岸田首相が羽田空港に着いたのが9時9分ですから、この金沢地方気象台の発表は当然、知っていたはずです。つまり、能登地方を軽視して、訪米を強行したと取られても仕方がないのです」
2泊3日で帰国する予定の岸田首相。自分にとっては“短い旅行”かもしれないが、能登地方の被災者には長すぎる。
( SmartFLASH )