社会・政治社会・政治

一時1800円超ダウン「石破ショック」エコノミストが新内閣の経済政策を分析「中間層の所得増大で格差是正」アベノミクスとは正反対路線へ

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2024.10.04 16:42 最終更新日:2024.10.04 16:42

一時1800円超ダウン「石破ショック」エコノミストが新内閣の経済政策を分析「中間層の所得増大で格差是正」アベノミクスとは正反対路線へ

石破茂新首相

 

石破茂首相誕生は金融マーケットにとってプラスなのかマイナスなのか。石破首相の発言があまりにもブレ過ぎて判断がつきません」

 

 ある株式トレーダーは、こう言って苦笑する。このところの株価と為替の変動を見ると、確かに振幅が大きすぎる。

 

 9月27日、総裁選の1回目の投票で、利上げに否定的な高市早苗氏の優勢が伝えられると、円安が進行。日経平均株価も900円以上あげて、その日の取引を終えた。

 

 しかし大引け後に出た総裁選の結果は、石破氏の勝利。石破氏は「金融所得課税強化」などを主張していたため、株式市場参加者は「月曜日が来るのが怖い」と暴落に身構えていた。

 

 そして週が明けた30日。取引開始直後から円高になり、日経平均株価は全面安の展開。一時1800円を超える下落となった。

 

 

「そして10月2日、石破首相と日銀の植田総裁が初めて会談をしました。会談後、石破首相は『個人的には現在、追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない』と発言。今後も緩和基調を維持することを明言したのです。これまでの主張を引っ込め、“アベノミクス継承”ともとれる発言にマーケットは安心して、3日には一転、円安になり日経平均株価の上げ幅も一時1000円を超えました」(前出・トレーダー)

 

 株式市場も石破首相の発言に翻弄されているが、果たして首相はどのような経済政策を行うつもりなのか。経済評論家の加谷珪一氏はこう語る。

 

「石破氏はインフレや財政の悪化など、アベノミクスの弊害を強く意識しており、金融正常化に前向きでした。金融を正常化すれば必然的に金利は上昇、円高が進みます。

 

 しかし金融市場では、『今、株価さえ上がればよい』という立場の人が多いため石破氏は『株価を下げる首相』と見られたことと、高市氏に対する期待も大きかったことから、総裁選当日の午前中は円安と株高が進みました。

 

 ところが石破氏が総裁に決まると、投機筋が売りを仕掛け、一気に株安と円高になりました。メディアが『石破ショック』と大騒ぎしたことから、石破氏は沈静化が必要と判断。少なくとも衆院選挙前は、金融正常化についてはトーンダウンさせると思われます」

 

 具体的にどのような施策を打ち出すのだろうか。

 

「石破氏は自民党内でもかなりリベラルな立場ですし、今回提示されている政策を見ても、富裕層や儲かっている大企業から、中間層以下に所得移転を行うことに主眼が置かれています。おそらく石破氏は格差が是正され、中間層の所得が増大することを望ましいと考えているはずです。

 

 アベノミクスで主張された『まず富裕層を豊かにし、そこがお金を使うことで中間層にも恩恵が及ぶ』という『トリクルダウン』の考え方とは正反対と見てよいでしょう」

 

 すると、「金融所得課税強化」はなされるのか。

 

「財源確保の観点から必要だと思いますが、富裕層からの猛烈な反発が予想されます。総選挙で強固な権力基盤を作らないと、実現は難しいでしょう」

 

 そして加谷氏は、「石破氏はいわゆる経済通ではありませんが、現在、提示されている経済政策は経済学的には正しい方向性を向いていると思います」と付け加えた。マーケットの荒波は収まるだろうか。

( SmartFLASH )

もっと見る

今、あなたにおすすめの記事

社会・政治一覧をもっと見る