衆院選では安定した戦いで10選を果たした、自民党の高市早苗前経済安保担当相(奈良2区)。投票時間の締め切り直後に当選が伝えられ、後援会からお祝いのレイを首にかけられても、その表情は硬いままだった。この仏頂面の背景には、どんな心があるのだろうか。
「この選挙で自民党は247議席から56議席を減らし、191議席になりました。公明党も8議席減らして24議席。『与党で過半数の233議席』という石破茂首相の目標には届きませんでした。
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選挙戦で、石破首相には及ばないものの、全国の候補者を応援行脚した高市氏にすれば、ショックが大きかったことは言うまでもありません」(政治担当記者)
9月の自民党総裁選では、決選投票で石破首相に惜敗した高市氏だったが、地方の自民党員からも大きな支持があったことから、衆院選の“顔”として応援依頼が「100以上あった」(自民党議員秘書)といわれている。
「とくに、旧安倍派の候補からの依頼が多かったようです。高市氏は綿密なスケジュールを立てて、効率よく応援をしていました」(前出の秘書)
本誌の調べでは、公示日翌日の10月16日から投票日前日の10月26日まで、40カ所でマイクを握っている。最終日の26日は京都、大阪の7カ所で応援をしていた。
多くは裏金問題で苦戦を強いられている議員なので、各陣営の“高市効果”に対する期待は大きかったのだが……。高市氏が応援マイクを握った40人の結果は、当選8人、比例復活8人、落選24人という、惨憺たるものになった。落選率は60%にも上る。
「高市氏の地元・奈良に近いこともあり、大阪など近畿圏の候補を精力的に応援しました。しかし、このエリアは日本維新の会の牙城。大阪は全小選挙区を維新が独占しました。もともとが苦しい戦いだったのですが、大臣経験者の宮城4区・伊藤信太郎氏、東京11区・下村博文氏が応援の甲斐なく落選したのはショックだったと思います」(自民党都連関係者)
そして、前出の政治担当記者は「思いのほか“威光”が示せなかったことで、高市氏も気落ちしている」とみる。
「当選報告後の会見で次期首相を狙う気持ちを聞かれ、『先月、総裁選挙に負けたばかり。敗北は敗北だが、いつか日本の国家経営をやりたい気持ちに変わりはない』と意欲を見せていましたが、現状の結果では、『ポスト石破』は難しい状況です。
2025年夏には参院選があります。その前に石破首相の交代論が出てくる可能性はありますが、今回の衆院選挙で、高市氏が、自民党支持層以外の有権者への訴求があまりないとみられてしまいました。かりに参院選前に総裁選があるとしたら、はたして前回のように票が集まるのか……。党内でも評価が分かれます」
新党結成という“大技”もささやかれるなか、高市氏の次の一手が注目されている。
( SmartFLASH )