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自民党が“落選議員反省会”を開催も「石破の下ではやってられない」参加者の不満爆発
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2024.12.11 20:33 最終更新日:2024.12.11 20:33
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苦虫を嚙み潰したような表情で取材を受ける“落選議員”衛藤征士郎氏(写真・長谷川 新)
「先の総選挙、大変厳しいご審判をいただきました。総裁たる私の責任であります。至らざるところ、行き届かないところ、多々あったと反省いたしております」
12月8日、自民党本部で党執行部と先の衆院選で落選した前議員の約100人が集う会合が開かれ、その冒頭で石破茂首相は11月の衆院選の結果について、こう反省の弁を述べた。参加者のなかには、党が公認せずに無所属で出馬した下村博文元文部科学相や髙木毅元国会対策委員長、丸川珠代元五輪相らの姿もあった。会合の名目は、「非現職前支部長との懇談会」というものだった。
「端的に言うと落選議員を集めた“反省会”です。ただ、落選した議員にとっては、たまったもんじゃないでしょうね。衆院選で公示前から60議席以上も減らす大敗の結果を受けて、懇談会では執行部に対する批判の声が相次ぎました。とくに、“存在感”を示したのが、下村博文氏です。下村氏は衆院選での敗北の理由を、派閥裏金事件に関与した12人を非公認とし、34人を比例代表との重複立候補を認めなかったことにあると断言。『逆に火に油を注ぎ、野党の攻撃材料になった。それが自民党全てに影響し、少数与党になった』と批判しました。
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さらに、非公認候補が代表を務める党支部に2000万円を支給した問題についても『執行部による決定的な戦略ミス』と断じ、『2000万円問題がなければ、もっと議席を自民党は維持できたのではないか』と非難しました。しかし、そもそも裏金問題が自民党敗北の原因。こうした批判については『自業自得ではないか』という声が、党内からも聞こえてきます。落選議員の中には、丸川珠代氏や二階俊博自民党元幹事長の三男・伸康氏の姿もありましたが、閉会後、逃げるように裏口から出て行った姿が印象的でした」(懇談会を取材した政治部記者)
それにしても、首相自ら落選議員の声を聞くのは異例のこと。石破首相の意図はどこにあったのか?
「単なる“ガス抜き”ですよ」と語るのは、政治アナリストの伊藤惇夫氏だ。
「石破首相は落選した元議員たちに言いたいことを言わせてグチを聞いただけ。不満のガス抜きを図っただけです。今回集まったうちのどれぐらいが再度、衆院選に挑戦するのかわかりませんが、今後の対応策は何も決まっていませんからね。支部長を近々決めるということですが、それも具体的には決まっていない。下村さんは執行部を厳しく批判しましたが、もう彼の政治生命は終わっていますからね。(丸川氏らが裏口から帰ったのは)報道陣に捕まれば、発言がまた炎上するからでしょう。政治家は選挙に落ちればタダの人以下。みじめなものですとしか言いようがありません」
だが、そう簡単に“ガス抜き”はできないようだ。“落選議員反省会”ではもっと過激な執行部批判の声も聞かれたという。今回、参加したある落選議員が、憤懣やるかたない様子でこう語る。
「落選したのに、いまさらこんなことやっても遅いというのが正直な感想ですよ。周りに聞いても、『オレは執行部の犠牲になった』という声が多い。とくに、投票日直前に報じられた2000万円問題がダメージとなりましたね。それまで逆風のなかで頑張ってきたのに、一気に潮が引いた。公認されずに落選した議員のなかには、小選挙区で負けて惜敗率が90%でも比例に残れなかった候補者もいる。つまり、比例での重複立候補が禁止されていなければ当選していたんです。彼なんかは『石破は許せない』とか、ぶっそうですが『殺してやりたいぐらい』などと相当、恨んでいます」
石破首相に対する不満はかなりのようで、“過激な発言”をする議員も少なくないという。
「次の総選挙は、来夏にダブル選挙となるか、あるいは2年後か3年後かわかりませんが、それまでは失業して食っていけないわけですよ。なかには、『もう議員を辞める』と言っている人もいる。民間で働いて食っていくしかないわけです。『もう石破の下ではやってられない』と、落選した議員で集まって新党を作ろうという声も聞こえてきます。もっとも、新党で選挙に勝てるかといえば勝てないでしょうから、現実的には無理でしょうけどね。石破首相は“ガス抜き”したつもりでも、簡単に恨みは消えません。でも、そんなことを表立っては言えません。幹部批判をすれば、次の選挙で公認されなかったり、党を追い出されかねませんからね」(同前・落選議員)
この会合で、石破首相は“強気”の姿勢を見せていたと指摘するのは、元朝日新聞政治部デスクの政治ジャーナリスト・鮫島浩氏だ。
「落選議員が落選を石破首相のせいにして文句を言うのは予想されたこと。むしろ、私が注目したのは、今回、石破首相が強気に見えたことです。衆院選敗北は『総裁の責任だ』としたうえで、『日本のためにこれからもご支援いただきたい』『参院選もあるから』と述べた。要するに、どんなに追い込まれても辞めないと宣言したわけです。
一方、党内では石破首相では参院選は勝てないから、新総理で選挙を戦いたいという空気が強い。しかし、少数与党で春の予算編成までは、誰が首相をやっても防戦一方でしょう。なので、そこまでは石破首相にやらせておき、予算案が通った段階で新しい総理に首をすげ替えてイメージを刷新して、衆参ダブル選挙に打って出るというのが党内の空気です。ところが今回、石破首相は『参院選まではやる』と宣言したわけですから、『まだやる気なのか』と驚きを与えた。石破首相は最近、支持率が少し回復していますが、それは人気が回復したからではない。自公過半数割れで、国民民主党の意見を入れて減税をのまざるを得ないのが、一定の期待感を集めているだけです。そのあたりを石破首相は勘違いしている。このまま居座れば、参院選にも敗北するでしょう。何とか次の選挙で復活したい落選議員の怒りも当然かもしれません」
“ガス抜き”どころではない。党内に溜まった不満が、いつ発火するかわからない状況だ。
( SmartFLASH )