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「わからないというのが正直」小泉進次郎氏も “さじ投げた” 自民党「公開方法工夫支出」断念に安堵の声
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2024.12.17 18:05 最終更新日:2024.12.17 18:05
12月16日、自民党は政治資金規正法再改正に向けて、導入を主張してきた「公開方法工夫支出」を断念した。この規定を削除するなどの法案を、衆議院の特別委員会にあらためて提出している。
政治担当記者が、こう話す。
「『公開方法工夫支出』とは、これまで使途公開が不要のため “ブラックボックス” と批判されてきた『政策活動費』を廃止したうえで、外交機密や個人のプライバシーなどに関わる支出の一部を非公開にするというもの。
当初は『要配慮支出』と名づけていましたが、党内から名称が誤解されやすいという声が出たため、すぐに変更されました。
12月11日の衆院予算委員会で石破茂首相は『(領収書は)公開されない。上限額はございません』などと答弁し、野党側から『結局、使い放題になり、改正の改悪だ』などと、さらに批判が強まっていました」
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断念に先だった16日午後の衆議院の政治改革に関する特別委員会では、この「公開方法工夫支出」に焦点があてられた。
質問に立った立憲民主党の後藤祐一衆院議員が、まず「2023年の支出において、『公開方法工夫支出』に該当すると思われる支出はありますでしょうか」と、具体な該当例とその例における情報公開を問いただした。
これに対し、特別委員会の理事で、自民党の長谷川淳二衆議院議員は、「前提として、わが党におこなわれていた政策活動費。いわゆる党に代わって役職者が渡し切りの形で党勢拡大、政策立案、調査研究をおこなうために支出を受けてきたもの。これは明確に廃止します」と明言。
そのうえで、該当する例として「使途が公開されると個人のプライバシーや企業の営業上の秘密、あるいは国の安全外交上の秘密が侵害されてしまうものも含まれ得る」と長谷川氏は回答した。
後藤氏の質問の矛先は、法案提出者であり、自民党の政治改革本部事務局長の小泉進次郎元環境大臣だった。
小泉氏に「公開方法工夫支出」にあたる過去の事例について「政策活動費的な形で幹事長に渡したもののなかから支出されているとか、そのぐらいはお答えください」と尋ねた後藤氏。
しかし、小泉氏は「われわれでは具体的な運用についてはわからないというのが、正直なところであります」などと答えるにとどまり、「公開方法工夫支出」を設ける意味について、「われわれは、仮に野党の政党であっても、公開の方法に工夫が必要なものは一定あるのではなかいという立場に立っています」と話すだけだった。
まるで “さじを投げた” ような小泉氏の回答を、後藤氏は「具体的にどう使っているかわからないじゃ、どこに立法事実があるんですか」と切り捨てていた。
16日午後、特別委員会が開かれている裏では、自民党の坂本哲志国対委員長と立憲民主党の笠浩史国対委員長の会談がおこなわれていた。
「坂本氏は笠氏に対し、『公開方法工夫支出』を撤回し、自民党法案からこの規定を削除して、国会に提出し直す考えを伝えました。じつは、自民党が16日午前に開いた会合では、出席者から『公開方法工夫支出』を法案から外すべき、という意見も出ていました。やはり、ネーミングも含め、無理筋な案件だったということでしょう」(前出の記者)
この「公開方法工夫支出」を排除した政治資金規正法再改正案には野党も合意し、17日午後に衆議院を通過する予定だ。
Xではこの公開方法工夫支出を自民党が断念したことについて、《少数与党になってマジで良かった》《自民党は弱い方が良い》と安堵の声があがっている。
17日、衆議院の政治改革特別委員会で、石破首相は「公開方法工夫支出」を断念したことについて、「考え方は私、今もまったく変わっておりません。公開に工夫を凝らさなければいけない支出は、今でもあると思っています」と悔しい思いを語っていた。
しかし、どうやら後の祭りとなってしまったようだ。
( SmartFLASH )