
自民党の宮沢洋一税調会長(写真・共同通信)
国民民主党支持者からは「やっぱりな」というため息まじりの声が聞こえてきそうだ。
12月17日、自民党・公明党・国民民主が断続的に開催していた「年収103万円の壁」を引き上げる税制調査会の協議が打ち切りになった。政治担当記者は、こういう厳しい見方を示す。
「3党は12月11日、『103万円の壁』の見直しを幹事長が合意。引き換えに国民民主は補正予算案に賛成しました。
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しかし、合意書の引き上げ額が『178万円をめざす』となっていた。これには当初から、党内で『めざすということは約束ではない。ちゃぶ台返しをされる』と不安視する声が多かったのです。
2023年11月、国民民主はガソリン税を一部軽減する『トリガー条項』の凍結解除を条件に、『令和5年度補正予算案』に賛成しました。しかしその後、自公国による協議が始まったものの、自民党は凍結解除の言質を取らせず協議は決裂しました。今回も前年同様、『補正予算成立』だけに利用されたようなものです。国民民主も、何度同じことを繰り返すのか……」
政治ジャーナリストの宮崎信行氏も、本誌に「103万円からわずか104万円に引き上げただけでも『178万円をめざした』という理屈が通る内容です。“空証文”と言っていいかもしれません」と危惧していたが、その通りになったようだ。
「最後の3党協議で国民民主の古川元久税調会長は、123万円を提示した自公の税調会長に対し、席にもつかず立ったまま『新しい提案がなければ協議を打ち切りたい』と宣言。10分後には部屋を退出しましたから、結論は決まっていたのでしょう」(同前)
しかし今年度の補正予算は通過したものの、自公が少数与党であることには変わりない。そのため2025年度の本予算成立に向けて、野党の協力は必須だが……。もはや国民民主の取り込みは期待できなさそうだ。
「次に自公が狙いを定めているのは、日本維新の会と言われています。
維新が政策の金科玉条にしているのは『教育の無償化』です。これまで自公と維新は実務者協議会を設置することで合意をしていますから、来年度予算に無償化が盛り込まれれば予算案に賛成すると思われます。
先の衆院選では、関西地方の選挙区で公明は維新とガチンコ勝負をしたことで“しこり”もありますが、予算が通らなかったら公明も困りますから、納得するでしょう」(立憲民主党議員秘書)
ベテラン自民議員は「権力を維持するためにはなんでもするのが自民党」というが、言い得て妙である。