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「シーシェパード」元代表、日本政府の引き渡し認められずフランスへ帰国…日本人女性通訳が明かしていた“船上生活”と“妨害の言い分”
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2024.12.21 17:35 最終更新日:2024.12.21 17:45
2024年7月に、デンマーク領グリーンランドで身柄を拘束されたものの、12月17日に釈放された反捕鯨団体「シーシェパード」の元代表、ポール・ワトソン容疑者が、12月20日、家族と住んでいたフランスに戻った。
社会部記者はこう話す。
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「彼は、日本の調査捕鯨を妨害する行為を支持したとして、2010年6月に海上保安庁が逮捕状を取り、国際刑事警察機構(ICPO)を通じて、青手配(国際情報照会手配書。被手配者の所在や犯罪の追加情報を求めるもの)していました。
その後、2012年に海上保安庁は、青手配から赤手配(国際逮捕手配書。身柄拘束を求めるもの)への格上げを請求し、そのとおりに手配されていました。
給油などで立ち寄ったグリーンランドで、地元警察に拘束された後、日本政府は、デンマーク政府にワトソン氏の身柄の引き渡しを要求していましたが、デンマークは引き渡しを認めない判断をしたため、約5カ月間、勾留された後に釈放されました」
これに対して20日、自民党の捕鯨対策特別員会は政府に対し、デンマーク側への働きかけが適切だったか、検証するよう求める決議をまとめ、小野寺五典政調会長に協力を要請した。
かつて日本を騒がせた「シーシェパード調査捕鯨妨害事件」だが、本誌は2010年2月に、同団体の抗議船「スティーブ・アーウィン号」にボランティアの通訳として乗り込んでいた30代の日本人女性、通称「マリコ」氏に衛星電話でインタビューしていた。
日本在住時は教師だったというマリコ氏がシーシェパードの存在を知ったのは、乗船の1年ほど前のことだったという。船は、2009年12月7日にオーストラリアのポートワースを出港したといい、マリコ氏は3カ月の航行予定の、今回だけの乗船だとのことだった。
乗船した経緯については、こう話していた。
「(シーシェパード側からの)お誘いがあったというのが理由ですけれども、たくさんの(シーシェパードの)サポーターに出会ったということですね。船の乗組員の方ではなくて、陸の上で寄附をしたりなどの、活動を支えている人たち。
米国、オーストラリア、ヨーロッパ、ブラジル、南アメリカなどのサポーターの方たちで、純粋な気持ちで海を守ってほしいと願い、自分たちの力で何ができるだろうと、できることをやっていらっしゃる方たちで、何の利益も得ないんですけども、どうしたら海の生態系を守ることができるだろうと考えている人たちです。
私は日本人ですから『自分が持っている情報が、あまりにも偏っていたんだんだな』と知りました。『エコライフ』っていうんですか、『スローライフ』とか『地産地消』とか、継続可能な共助のあり方を考えている、素晴らしい方々が世界中にいらっしゃいますよね。
そういう方々に出会いまして、やはりいままでの画一的なあり方に、問題が多いんだなということがわかりまして、こういう活動をしている人たちに対して、尊敬するようになりました」
シーシェパードの船上生活では「30人くらい」と共同で暮らしていたという。
「私は通訳ですので、時間に関係なく、仕事があればやっています。朝食を食べて、12時から昼食、18時から夕食を食べています。私はいま、シフトのなかで働いていませんので、夜は6、7時間、寝させていただいています。
食べ物はすべて、いっさい動物性を使っていません。魚は出ません。この船で出る食事は『ビーガン』という、ベジタリアンよりも(厳格な)、動物性(の食べ物)をいっさいとらない食事です。
私はビーガンではありませんでしたが、船に乗ってからは、動物性を含まない料理しか提供されません。でも、とてもおいしいです。いろいろな料理を食べさせてもらっています。イタリア料理から中華から、和食まで」
そして、シーシェパードの「妨害活動」には、こんな言い分があると語っていた。
「鯨を『日本の食文化』とおっしゃるのであれば、私は一度も鯨の肉を食べたことがありませんので、文化ではないと思います。ほとんどの人間は、鯨肉を食べたことがないんじゃないでしょうか。
かつては捕鯨が受け入れられた時代がありましたが、いまは時代が変わりました。世界では鯨肉は受け入れられていません。鯨を殺すということも受け入れられていません。
シーシェパードはどこの国であろうと、世界中の海で起きている“違法行為”に対して、抗議活動をしているだけですので。ポール・ワトソンさんはカナダ人ですけども、まず、カナダのアザラシの毛皮を獲るのに、赤ちゃんアザラシを殺すことに抗議する活動を、最初になさっています。
どこの国だから、ということでやっているわけではなく、海の動物たちは法律の上で守られなければならない、と考え、違法行為のみに抗議しています。それを反日だといって、日本側だけの意見を述べるというのは、非常に残念だと思います」
インタビューから14年経ったいま、マリコ氏はワトソン容疑者の釈放のニュースに“小躍り”しているのか――。
( SmartFLASH )