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「次は林官房長官」7月衆参ダブル選挙に向けて始まった “石破おろし”…2月予算成立後の「政局第2ラウンド」識者の見解は

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2025.01.03 19:16 最終更新日:2025.01.03 19:17

「次は林官房長官」7月衆参ダブル選挙に向けて始まった “石破おろし”…2月予算成立後の「政局第2ラウンド」識者の見解は

石破茂首相(写真・JMPA)

 

「今までやってきた大臣の5倍、10倍はしんどい」

 

 2024年12月27日、読売テレビの番組『ウェークアップ』でこうこぼしたのは、首相就任4カ月めに突入した石破茂首相だ。かつて麻生太郎元総理は、首相について「どす黒いまでの孤独」と表現したこともある。一国の首相には、孤独に耐えきれるだけの体力、精神力が求められるという意味だが、いま、石破茂首相は同じ心境かもしれない──。

 

 

 自民党は昨年10月の総裁選で惨敗し、公明党と合わせても過半数を割り込む少数与党となった。石破首相は、野党の協力なしには予算案も法案も成立させられない厳しい国会運営が続いている。

 

 こうした危機的状況について、「少数与党が長期化した例はない。当面の焦点は、石破政権がいつまで続くかです」と指摘するのは、元朝日新聞政治部デスクの鮫島浩氏だ。

 

「1月24日召集の通常国会では、国民民主党と日本維新の会を天秤にかけ、どちらか一方を味方に引き入れ、新年度当初予算の可決・成立を目指すことになります。

 

 国民民主党は、所得税の非課税枠103万円を178万円に引き上げるよう要求し、維新は、教育無償化の実現を求めています。これらの要求に譲歩して予算案への賛成を得なければ、予算の年度内成立は困難でしょう」(以下、「」内は鮫島氏)

 

 さらに、もし野党が結束すれば、内閣不信任案がいつ可決されてもおかしくない事態となる。不信任案が可決されれば、石破首相は内閣総辞職するか、衆院を解散して総選挙を断行するか選択しなければならない。

 

「石破首相は、2024年末の講演で、予算案が否決されたり、内閣不信任案が可決された場合は、衆院解散もあり得ると明言しました。とはいえ、内閣支持率が低迷していれば、石破首相は解散を断行できず、内閣総辞職に追い込まれる可能性が高まります。

 

 内閣不信任案の提出を回避するため、予算成立と引き換えに石破首相が退陣表明する展開も十分にあるでしょう。まずは2月末の予算案の衆院採決で、国民民主党と維新が賛成するか否かが今年最初の山場となります」

 

 石破首相の当面の危機は2月中の予算案審議だが、それを乗り越えても “試練” は続くという。

 

「自民党内では、石破首相では今年7月の参院選は戦えないとの声が大勢を占めているんです。つまり、“石破おろし” がすでに始まっている。

 

 しかし、今すぐに石破首相を引き摺り下ろしても、少数与党の国会運営が厳しい状況に変わりはありません。閣僚の失言やスキャンダルが飛び出せば、閣僚辞任ドミノが起きる可能性もあります。

 

 ですから、予算成立までは石破首相を野党の追及の矢面に立たせ、予算成立後に首相を差し替えて、新しい顔で7月の参院選に挑むというのが現状の戦略でしょう」

 

 石破首相退陣となれば、自民党は再び総裁選を実施することになる。“ポスト石破” に名乗りをあげるのは誰か。気になるのが、前回の総裁選で2位となり、石破氏にあと一歩まで迫った高市早苗氏の動向だ。

 

「高市氏は、党員人気は根強いものの、前回の衆院選で彼女を支持した安倍派の中堅・若手が大量落選し、党内基盤は壊滅的打撃を受けました。

 

 さらに、9月の総裁選で高市氏を支持した麻生氏や茂木敏充前幹事長が次も高市支持に回るとは限りません。茂木氏は総裁選出馬に意欲をにじませていますし、麻生氏は茂木氏を推すでしょう」

 

 同じく保守層に人気のある小林鷹之氏も出馬に意欲を示しているが、保守陣営が固まらなければ苦戦は免れない。では、ポスト石破の最有力候補は誰なのか。

 

林芳正官房長官でしょう。石破政権でキングメーカーに浮上した岸田文雄前首相が率いる岸田派のナンバー2で、外相、防衛相、文科相、農水相などの要職を歴任しており、キャリアは十分。前回の総裁選では4位に食い込みました。


 岸田氏や森山裕幹事長ら石破政権の主流派は、現体制を維持するためにも、石破首相から官邸中枢に陣取る林氏へ、“居抜き” の形で政権移行するのが得策でしょう。もっとも、林氏は国民的知名度がいまいちで、参院選の顔になるかどうかは不透明です」

 

 新総裁が選出されても、自公が少数与党であることに変わりはない。そのため、新総裁が国会ですんなり首相に指名されるとは限らないという。

 

「少数与党政権の首相交代には、国会での首相指名選挙を乗り切るリスクがついて回ります。昨年10月の首相指名選挙では、国民民主党や維新が立憲民主党の野田佳彦代表に投票しませんでしたが、同じように野党を分断することが不可欠です」

 

 少数与党を根本的に解消するには、自公連立に国民民主党か維新を引き込んで連立政権の枠組みを拡大するか、衆院を解散して総選挙で過半数を回復するしかない。

 

「国民民主党や維新は、参院選前に連立入りすれば『自公政権の延命に手を貸した』などと批判され、参院選で惨敗する恐れがあるため、少なくとも参院選前の連立入りは難しい。

 

 石破首相は、昨年末には、立憲民主党との大連立について『選択肢としてある』と語りました。維新や国民民主党を自公連立に引き込むよりは立憲と大連立をしたほうが政権が安定しますが、さすがに参院選前は無理でしょう。

 

 だとすると、新政権が発足して内閣支持率が上昇すれば、7月の参院選前に衆院を解散して『衆参ダブル選挙』を探る動きが強まるのは間違いありません。

 

 昨年10月の総選挙から1年も経っていませんが、支持率次第では、『いまより議席を減らすことはない』という強気の姿勢が広がる可能性もあります」

 

 もちろん、衆参ダブル選挙にもリスクがともなう。

 

「自公与党が過半数を回復すれば政権は安定しますが、再び過半数を失えば、野党が結束して政権交代が実現することもありえます。ただ、立憲、維新、国民3党の足並みは乱れているうえ、れいわ新選組や共産党を含めた野党の結集は簡単ではない。

 

 立憲が自民党の議席を上回るほどの勝利を収めれば、与野党大連立のシナリオもありえます。しかし、圧倒的な大勝利でなければ、自公が過半数割れのまま少数与党として政権を担い続けるでしょう。いずれにしても、自公連立の枠組み拡大が、今後の大きな政治テーマとなります」

 

 予算成立後の「政局第2ラウンド」に続き、7月の衆参ダブル選挙後には「政局第3ラウンド」のゴングが鳴りそうだ。

( SmartFLASH )

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