社会・政治社会・政治

拘束された韓国・尹大統領「非常戒厳」の背景に“韓国のラスプーチン”疑惑の夫人は中国への“亡命計画”も

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2025.01.18 11:55 最終更新日:2025.01.18 11:55

拘束された韓国・尹大統領「非常戒厳」の背景に“韓国のラスプーチン”疑惑の夫人は中国への“亡命計画”も

ソウル拘置所に移送される尹錫悦大統領(左)と天供師(写真・左は時事通信、右は天供師のYouTubeチャンネルより)

 

非常戒厳」の宣布をめぐり、1月15日、韓国尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が、高位公職者捜査処と警察などで作る合同捜査本部に内乱罪容疑で身柄を拘束された。現職の大統領が身柄を拘束されるのは、韓国の歴史上初の事態だ。

 

「大統領は憲法で不訴追特権がありますが、内乱罪は除外対象となります。このまま首謀者として内乱罪が確定すれば、死刑か無期懲役、または無期禁固刑になります。捜査本部は10日間にわたり、尹大統領が暮らす官邸を包囲し、裁判所に逮捕状を2度も発行してもらいましたが、警護庁の抵抗もあり、この日まで身柄拘束には至りませんでした」(現地紙記者)

 

 

 捜査本部と尹大統領の対立は、市民の間でも深刻な分断をもたらしつつあった。

 

「捜査本部は逮捕を妨害しないよう、警護庁に再三、要請をしました。しかし警護庁は、『通常業務を遂行する』として、尹大統領の身柄は渡せないという立場でした。官邸外には尹大統領支持派と弾劾支持派が、それぞれピケを張り、にらみ合いを続け、1000人規模の警察官が両派に間に割って入ることでなんとか流血を避けている、という状態でした。尹大統領は結局、『流血の事態は避けたい』として、逮捕に応じることを明らかにしました」(同前)

 

 大統領と接触した与党議員らによれば、逮捕前の尹大統領は睡眠不足に悩んでいる様子で、「すごく疲れている」と明かしていた。逮捕当日は、得意料理だというツナサンドを作り、与党議員らにふるまったとされ、さらに、金建希(キム・ゴンヒ)夫人と飼い犬のトキ、それぞれと別れの時間を持ったという。

 

 そもそも、なぜ尹大統領はこれほどの混乱を生んだ非常戒厳を宣布したのか。韓国情勢に詳しい『コリア・レポート』編集長の辺真一氏は、こう解説する。

 

「大前提として、国会では少数与党であるため、政治的に行き詰まっていたのです。そこで尹大統領は、平壌にドローンを飛ばしてプロパガンダビラをばらまくなど、しきりに北朝鮮を挑発していました。ミサイルのひとつでも飛んでくれば、『非常戒厳』が出せると考えていたからです。ところが、北朝鮮は一向に乗ってきませんでした。

 

 さらに、金夫人が株価操作、賄賂授受疑惑などさまざまなスキャンダルに見舞われ、国会から追及を受け、特別検察官の選任を何度も議決されている状況でした。

 

 そこで、誰が考えても無謀としかいえない『国会内の従北勢力の一掃』を理由に、非常戒厳を出したのです。これで野党勢力を一掃し、金夫人への追及も止めようとしたのでしょう」

 

 だが、最後の最後に尹大統領の背中を推したのは“韓国のラスプーチン”かもしれない。

 

「じつは、尹大統領夫妻には側近といえる占い師が複数、いるんですよ。有名な話として、2022年11月のカンボジア訪問では、アンコールワットに行く予定が、占い師から『墓みたいなところに行くのは運気が下がる』と反対されたため、別の訪問先に変更したそうです。

 

 代表的な占い師は、建振(コンジン)法師、無情(ムンジョン)僧侶、天供(チョンゴン)師です。尹大統領の選挙対策本部『ネットワーク本部』に常駐していた建振法師は、人材招へいや公約決定に関与したとされ、2025年1月に、地方選挙の公認権の見返りに謝礼を受けた容疑で逮捕されています。また、尹大統領がまだ法学部生だったころに知り合い、『あなたは検事になる運命だ。(司法試験を)3年間、がんばって勉強しなさい』と諭したとされる無情僧侶は、金夫人との出会いのきっかけを作ったといいます。また、任期中を通して“メンター”になっていたというのが、天供師です」(辺氏)

 

 天供師の経歴は、“神秘的”だ。

 

「天供師は長髪で白いひげをたくわえた、まさに雰囲気抜群の人物ですね。1952年生まれで、4歳のころ親に捨てられ、職を転々としたそうです。1985年に、宗教的な天啓を受け、修行を開始。3年近くすると、夜には次元を行き来し、神々と会話をすることができるようになったと自称しています。YouTubeなどを通じて、積極的に時事ネタを拾っては発信し、出版活動もおこなっています」(前出・現地紙記者)

 

 この天供師に、大統領夫妻はぞっこんなのだ。

 

「官邸の場所を変えたのは、天供師の助言とされています。尹大統領が寄せる信頼は絶大で、予備候補討論会で別の候補から、天供師の存在に疑義を唱えられると、『正法(天供師の教え)に従う人は多い。正法を迷信だというのは、名誉棄損だ』と言い切っています。多くの占い師のなかでも、いちばん夫婦ともに心酔していたと聞いていますよ。非常戒厳宣布という現実離れした選択をしたのも、天供師の影響があった可能性があります」(辺氏)

 

 神秘的な能力で大統領夫妻に取り入り、国を混乱の極地に追い込む――。まるで帝政ロシア末期に現れた怪僧“ラスプーチン”のようだ。

 

 尹大統領はこの後、憲法裁判所で開かれている大統領弾劾審判に欠席する方針だという。起訴されなければ釈放されるが、供述も拒否していることから、起訴され、身柄の拘束は長期化すると予想されている。

 

「じつはいま、密かに注目されているのが金夫人の動向です。金夫人には渡航禁止などの処分がついていないため、国外に“亡命”するのではないかと噂されているのです。非常戒厳のあった当日も、金夫人は極秘裏に政府関係者と約3時間、協議をしており、身の保全を図っていたのではないかという話になっています。

 

 尹大統領と金夫人は、固い絆で結ばれています。尹大統領が自ら逮捕に応じたのも、金夫人の身の安全が約束されたからだ、という説もあります。逆に、韓国当局としても金夫人の扱いには頭を悩ませていました。大統領そのものが拘束されてしまったいま、夫人を保護しつづける法的根拠がないのです。しかし、過熱する世論のあおりを受けて、もし金夫人の身に何か起きれば、それこそ民主主義国家として恥の上塗りになります。国外でひっそりとしてもらうのは、当局としても願ったりかなったりの展開です」(辺氏)

 

 では、具体的にどこへ“亡命”するのか。

 

中国か米国の2択ですね。とくに、中国の遼東半島に位置する大連には、巨大なコリアンコミュニティが存在するため、身を隠すにはちょうどいいのではないか、といわれています」(同前)

 

 夫婦愛だけはすばらしいが……。

( SmartFLASH )

続きを見る
12

今、あなたにおすすめの記事

社会・政治一覧をもっと見る