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いまだトランプ大統領と面会できず…“人脈力ゼロ” の石破首相、切り札は「小さな総理」と称賛されたスーパー通訳

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記事投稿日:2025.01.21 11:52 最終更新日:2025.01.21 12:03
出典元: SmartFLASH
著者: 『FLASH』編集部
いまだトランプ大統領と面会できず…“人脈力ゼロ” の石破首相、切り札は「小さな総理」と称賛されたスーパー通訳

トランプ大統領就任で今後の対応に注目が集まる石破茂首相(写真・JMPA)

 

 1月21日、ドナルド・トランプ氏が就任式で宣誓し、第47代アメリカ大統領に就任した。予測不能なトランプ氏が、何を要求してくるのか。日本、そして世界が戦々恐々としている。

 

「トランプ氏は就任を控えた19日、首都ワシントンで支持者を前に演説し、公約の実現に向けて『歴史的なスピードと強さで実行に移す』と述べました。

 

 

 続けて、就任初日から多くの大統領令に署名し、バイデン政権の政策を大きく転換させるとも宣言。関税の引き上げや防衛費の増額など、日本にとって不安な要素は多々あります。石破茂首相がトランプ氏の理不尽な要求をどこまで突っぱねられるかが、最大の争点と言えるでしょう」(政治部記者)

 

 ただ、当の石破首相は、電話で話しただけで、まだ一度もトランプ氏と面会していない。

 

「石破首相は、バイデン前大統領と良好な関係にあった岸田文雄前首相の経済・外交政策を受け継ぐと公言しています。ところが、トランプ氏はウクライナ戦争はじめ外交、経済政策など、“バイデン路線” をすべて否定したいと考えているんです。2人は政策的にも正反対なんですよ。

 

 さらに、性格においても2人の相性はよくないでしょう。トランプ氏はトップ同士の取引を好みます。プーチンや金正恩といった独裁者と仲がいいのは、彼らと交渉すればその場で決めてくれるからです。

 

 ところが、石破首相は少数与党で政権基盤が弱いから、自分では何も決められない。即断即決ができない。それに、回りくどい話し方で、国会でも話がダラダラ長くて何を言っているのかわかりにくい。じつは、トランプ氏がもっとも嫌いなタイプなんです」(元朝日新聞政治部デスク・鮫島浩氏)

 

 そんな石破首相に、まるであてつけるかのように、2024年12月15日、故・安倍晋三元首相の妻・昭恵氏がトランプ氏の私邸『マール・ア・ラーゴ』での夕食会に参加した。

 

「じつは、この訪問で昭恵さんが『トランプ氏との面会に一緒に行ってほしい』と頼ったのが、とある外務官僚だったんです」

 

 こう語るのは、情報誌『インサイドライン』編集長の歳川隆雄氏だ。首相を出し抜いた、驚異の人脈の持ち主とはどんな人物なのか。

 

「現在、外務省北米局日米地位協定室長の高尾直氏です。東大法学部卒のキャリア官僚で、アメリカ生まれの帰国子女。中学3年生のときに帰国して、わずか2カ月の受験勉強で名門・開成高校に入学しています。

 

 2003年に外務省入省後は、ハーバード大学大学院ケネディ・スクールで修士号を取得するなど、キャリアは申し分ありません。それでいて、ピアノはプロ並みといったエピソードもあります。

 

 そんな高尾氏は、昭恵さんから同行を頼まれた件を、上司である北米局の有馬裕局長に相談したそうです。ただ、外務省の正規職員が民間人である昭恵さんに同行するのはまずいということで、結局、実現しませんでした」(以下、「」内は歳川氏)

 

 最終的に、この対談には、麻生元首相の側近・薗浦健太郎元衆議院議員が同席したのだが、昭恵氏が最初に頼ったことからも高尾氏に対する厚い信頼がうかがえる。

 

 高尾氏の活躍は、これだけではない。石破首相の本格的な外交デビューとなった、11月のペルー・ブラジル訪問にも、密かに同行していたのだ。

 

「随行団の正式なメンバーではありませんでしたが、一緒に南米に行っています。結局、トランプ氏との面会は実現しませんでしたが、もし南米帰りに実現できたとしたら、高尾氏が通訳として同行する予定だったそうです」

 

 すでに通訳として、石破首相を陰から支える高尾氏だが、彼の名が “霞が関” に知れ渡ったのは、6年前。故・安倍元首相とトランプ氏とのトップ会談の通訳を務めたときだった。

 

「高尾氏は、2人の電話会談を含む30回以上の会談すべての通訳を務めました。彼は、実際にしゃべっていなくても行間を読み取り、それを正確に伝えられるんです。その結果、“スーパー通訳” と呼ばれるようになりました。驚きなのが、当時の肩書は、国際法局条約課首席事務官で、語学の専門職ではなかったんです」

 

 英語が堪能な高尾氏は、知性を感じさせる表現への翻訳が得意だという。

 

「一例をあげると、安倍首相がトランプ氏の妻に対して、『ミセス・トランプ』と話しかけた際、『マダム・ファーストレディー』と、王室風に敬語で表現したのです。

 

 アメリカには王室がないため権威に対する憧れが強いんです。そのため、トランプ氏はこの表現に感銘を受けたのでしょう。それ以来、トランプ氏は、高尾氏に絶大な信頼を寄せるようになったといいます」

 

 2019年5月、トランプ氏が再来日した際も、高尾氏が通訳として同席していた。この日のトランプ氏は、千葉県茂原カントリークラブで安倍首相と青木功プロを交え、ゴルフに熱を上げていた。

 

「すっかり楽しんだのでしょう。ゴルフ後、トランプ氏は高尾氏に対し『リトル・プライムミニスター』(小さな総理大臣)と敬意を込めて伝えたんです。『あなたがいるから安倍首相とコミュニケーションができ、深く関係を深めることができた。ありがとう』という意味でしょうね」

 

 日米首脳会談は2月前半にも実現しそうだが、その場合も、高尾氏が参加する可能性が高いという。コミュニケーションに難があり、 “人脈力ゼロ” といわれる石破首相にとって、『小さな総理』こそが切り札なのだ。

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