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大谷翔平、トランプ大統領への表敬訪問で巻き込まれる“政治摩擦”とは

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記事投稿日:2025.01.27 15:48 最終更新日:2025.01.27 15:48
出典元: SmartFLASH
著者: 『FLASH』編集部
大谷翔平、トランプ大統領への表敬訪問で巻き込まれる“政治摩擦”とは

トランプ大統領と大谷翔平(写真・時事通信)

 

 日本時間1月21日に大統領就任式を終えた米国・トランプ大統領。就任早々、パリ協定離脱、WHOからの離脱、南部国境の非常事態宣言など矢継ぎ早に大統領令に署名し、まさにフルスロットルだ。

 

 トランプ大統領の一連の政策に対し、民主党を中心とするリベラル勢力の反発は必至。各所で摩擦が起きることが懸念されるが、意外なことに野球界の我らが大谷翔平も巻き込まれる可能性があるようでーー。

 

「ひとつのポイントは、ホワイトハウスへの表敬訪問ですね」

 

 と語るのはメジャーリーグ評論家の福島良一氏だ。

 

アメリカでは野球、バスケットボール、アメリカンフットボール、アイスホッケーの4大スポーツのほか、大学のアメフトや男女バスケチームなどが優勝すると、ホワイトハウスを表敬訪問することが長年の慣例となっています。

 

 通常、優勝してホワイトハウスを訪れることは、選手にとってはこの上ない名誉です。表敬訪問することを目標にプレーする選手もいたくらいです。ところが、2017年1月にトランプ大統領が就任すると、大きく変わりました。訪れることを辞退する選手が続出したのです」(福島氏)

 

 

 その要因はトランプ大統領の言動にあった。2019年、球団創設51年めにして初めてワールドシリーズを制覇したワシントン・ナショナルズ。ホワイトハウスがあるワシントンが本拠地だけに、表敬訪問も大いに盛り上がると見られた。しかし、妻とともにチャリティー活動に熱心なショーン・ドゥーリトル投手は、身近にLGBTや障がい者がいるということで、マイノリティを軽視するトランプ大統領の訪問を批判を込めて辞退した。

 

「じつは大谷選手のチームメイトでMVPトリオのひとり、ムーキー・ベッツ内野手もボストン・レッドソックス時代に訪問を辞退しています。今回どうするかは、現時点では不明です。ただ、ド軍は中南米をはじめ、日本、キューバなどの選手も多い国際球団なので、他球団と違い辞退者は多く出るかもしれませんね。トランプ大統領はメキシコに対して大変厳しい意見を述べているので、ウィル・スミス捕手の控えであるオースティン・バーンズ捕手がどうするか。国籍はアメリカですが、前回のWBCにはメキシコ代表として出場していますから、注目されるでしょう」(福島氏)

 

 トランプ大統領が最初に就任した2017年からの2年間で、4大スポーツと大学スポーツで優勝した20チームのなかで訪問を辞退したチームは半数にも及んだという。では、大谷はどうするのか。

 

「そもそも大谷選手は、昨年まで優勝に縁のないエンゼルスにいましたから接点がほとんどありませんでした。ワールドシリーズを制した今は大統領との接点も生まれてくると思われますが、大谷選手の性格を考えると、断わることはないでしょう。ホワイトハウスにも訪れると思いますね。前回のトランプ政権時代は、チーム全体で訪問を拒否した野球チームはありませんでした。なぜなら、4大スポーツのなかでもっとも歴代大統領と密接な関係にあると言われるのが野球です。1910年、ウィリアム・ハワード・タフト大統領が、大統領として初めて始球式をおこないました。そうした歴史もあり、訪問を辞退した野球のチームはないのです」(福島氏)

 

 大谷にとって今季は二刀流復活がかかった大事なシーズン。もしトランプ大統領に会う判断をしたとしても、“政治摩擦”に巻き込まれたりしないよう祈りたい。

 

 元NHKワシントン支局長・外交ジャーナリスト・手嶋龍一氏は、トランプ氏とドジャースの関係についてこう語る。

 

「注目すべきは、まずトランプ大統領が、ハリウッドのスターであるシルベスター・スタローンら3人を『ハリウッド特別大使』に任命したことでしょう。スポーツ界や芸能界の人気者の誰が自分を支持してくれるか、これは激戦を戦うトランプ氏にとっては非常に重要です。

 

“ハリウッド大使”となった3人は大統領選挙でいち早く“トランプ支持”を表明してくれた恩人ですから、“大使”任命でお返しをしたわけですね。トランプ大統領ほど破天荒な人物にとっても、世論に大きな影響を与えるスターの支持を取りつけておくのは大切なのです。その点でいえばドジャース、ましてや大谷翔平選手という存在はトランプ大統領として何としても“味方に”と思う存在でしょう。いまや大谷は、“日本から来た助っ人外国人”などではない。“アメリカが生んだスーパースターだ”と受け止めている人もいるほどです。その点、大谷選手は賢明で、政治的な立場などを明らかにしたことがありません。そんなバランス感覚に富んだ人なので、ホワイトハウスから一本釣りで“お誘い”があっても、国民栄誉賞の時と同様にうまくさばくことでしょう」

 

 一方、現地紙記者からは気になる情報も。

 

「タフト大統領以来、慣例となっていた開幕戦での始球式ですが、これまでやらなかった大統領は2人だけ。それはジミー・カーター大統領とドナルド・トランプ大統領です。またトランプ大統領はドジャースのライバルであるヤンキースの大ファン。故スタイン・ブレナーオーナーと仲が良かったこともあり、しょっちゅうヤンキースタジアムを訪れていました。“アンチ・ドジャース”として余計なことを言い出さないことを祈るばかりです。

 

 現時点でホワイトハウス訪問の日程は未定ですが、4月8〜10日のワシントンでおこなわれるナショナルズ戦がいちばん可能性が高そうです。政治的な注目が集まる“4月危機”を大谷がいかに乗り切るのか、注目したいですね」

 

 さすがのトランプ大統領も、世界トッププレーヤーの大谷には敬意を払うことだろう。

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