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「お前のところにクマを送る」知事発言が物議の秋田県、“本気”の被害対策に2億9000万円…「撃退作戦」の中身を担当者に聞く

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記事投稿日:2025.01.28 17:32 最終更新日:2025.01.28 18:05
出典元: SmartFLASH
著者: 『FLASH』編集部
「お前のところにクマを送る」知事発言が物議の秋田県、“本気”の被害対策に2億9000万円…「撃退作戦」の中身を担当者に聞く

「お前のところにクマを送るから住所を送れ」発言の翌日、記者団に真意を説明する秋田県の佐竹知事。その目には危機感がみなぎっているようだ……(写真・時事通信)

 

 クマによる人的被害が深刻だ。環境省の「クマ類による人身被害について(速報値)」(2025年1月8日時点での資料)によると、全国での被害者数は2022年75人(死亡2人)、2023年219人(死亡6人)、2024年82人(死亡3人)と高止まりしている。

 

 なかでも秋田県は、2023年に全国ワーストとなる70人(うち死亡0人)が被害に遭うなど対策は急務だ。

 

「11月30日には、秋田市内のスーパーにクマが侵入。従業員にけがをさせ、そのまま2日間、店内の生肉などを食べながら居座り続けましたが、最後は仕掛けられた箱わなに入り、駆除されました。また、12月26日には市内の自動車整備工場にクマが現れ、スーパー同様に居座り、翌日に捕獲される事件も起きました。

 

 こうしたことから県は、2024年11月1日から2025年1月31日まで『ツキノワグマ出没注意報』を発令して県民に注意を促しています」(事件担当記者)

 

 

 しかし、クマ駆除に対して、「かわいそうだ」といった苦情の電話が県に寄せられると、たびたび報じられてきた。その電話の多くは、県外からだという。

 

 秋田県の佐竹敬久知事は、昨年12月の県議会で苦情電話について質問されると、「もし私が電話を受けたら、相手を威嚇して『お前のところにクマを送るから住所を送れ』と言う。ドローンに物をぶら下げて上から落とす。小さい爆発物を食べてもらってリモコンで(クマの)腹の中で破裂させることもやったほうがいいのではと思う」と過激な答弁を繰り出した。県民の命が危険にさらされているがゆえの発言だと思われるが、その内容はあまりにショッキングだった。

 

「知事の発言は、危険が迫っている県民からは支持の声が多くあがっています。

 

 翌日、記者から発言の意図を問われた佐竹知事は『本当にクマを送ることはできないが』と前置きし、『トップが毅然とした対応をすることで職員が対応しやすくなる』『自分の家にクマがいたらどうするのか。自分の身になってほしい。人間の命が一番だ』と説明しました」(同前)

 

 秋田県の2025年度当初予算案では、クマによる被害対策費に2024年度当初の1.3倍となる約2億9000万円が計上された。県の担当者は、「対策は待ったなしです」と現状を語る。

 

「すでに2024年度の補正予算を使い、クマが通りそうな河川敷の木の伐採、エサになりそうな放任果樹の伐採を行っていますが、来年度予算案でもこれらが計上されています。

 

 また、県民から『市街地での対策を強化してほしい』という要望が多くなっていることも踏まえて、市街地への侵入ルートの特定と侵入遮断方法の検討、箱わな、電気柵の導入促進の予算なども計上しています」

 

 そのほかの対策は、「麻酔銃を取り扱う職員の育成」「新聞広告、テレビ・ラジオ広告を使った山菜採り・キノコ採りシーズンの注意喚起」などだ。

 

 昨今は「冬眠しないクマ」もいるので、対策は年間を通じて行われそうだ。

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