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埼玉・道路陥没で住民に避難勧告、120万人が「下水道使用制限」自治体に聞いた広域被害の理由

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記事投稿日:2025.01.29 15:50 最終更新日:2025.01.29 20:02
出典元: SmartFLASH
著者: 『FLASH』編集部
埼玉・道路陥没で住民に避難勧告、120万人が「下水道使用制限」自治体に聞いた広域被害の理由

1月28日に陥没した道路。同日昼にはトラックとともに転落したドライバーの救出作業が始まっていた(写真・梅基展央)

 

 1月28日午前9時40分ごろ、埼玉県八潮市の県道交差点で直径5m、深さ10mにわたって道路が陥没し、通行していた2tトラックが転落する事故が発生した。

 

「男性運転手1人が乗っていると見られるトラックは、前方から陥没した穴に落ちて、運転席部分が土砂に埋まりました。

 

 周辺地域は一級河川の中川に近く、地盤がとても弱い地域です。こうしたことから、トラックを引き上げるクレーン車が陥没に近づくと、新たな陥没につながる可能性がありました。

 

 実際、発生から15時間経った29日午前1時に、運転席部分を地中に残したまま、トラックの荷台部分のみ引き上げられましたが、その際、最初の陥没から数m離れた場所で新たな陥没が起き、そば店の看板が地中に落ちるなどしました」(事件担当記者)

 

 

 なぜ、事故は起きたのか。付近の水道管を管轄する埼玉県下水道事業課に聞くと「下水道管が腐食して穴があき、そこから土砂が流れ込み地中に空洞ができて、トラックなどの車両が通ることにより、重みに耐えきれず道路が陥没した疑いがあります」としている。

 

 事故現場周辺にはガス管も埋設されているため、半径200mの住民には避難勧告が出され、埼玉県はさらに「下水道の使用制限」も発表している。

 

 使用制限が出されたのは、さいたま市岩槻区、川口市の一部、春日部市、草加市、越谷市、八潮市、蓮田市、幸手市、白岡市、伊奈町、宮代町、杉戸町など広域にわたり、約120万人が影響を受けるとみられている。なぜ、これほど広域になったのか。

 

「事故現場の下水道管は、各家庭や工場から出された排水が集まる『流域下水道』と呼ばれる、メインの下水管です。そのため“上流”にある地域が広いため、このような対処になりました。今後の事故原因究明なども、県が担うことになります」(埼玉県下水道事業課)

 

 該当地域の住民からは「下水が流れなくなるのか」「トイレは使えないのか」など、戸惑いの声があがっている。どのような制限を受けるのかを八潮市防災対策課に聞くと「可能な限りでけっこうですので、洗濯や風呂の排水を控えるようにお願いしています。トイレなどが使用できなくなることはありません」と回答。復旧の目処については「立っていません」とのことだった。

 

 国土交通省によると、全国で「標準耐用年数50年」を経過した下水管は約3万km(総延長の約7%)もあるという。同じような事故が起きないためにも、早急な対策が必要だ。

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