社会・政治
石破首相、突然の“万博推し”発言で露骨な維新へのすり寄り…予算案成立へ少数与党の胸算用
4月13日開幕の大阪・関西万博。1月26日には、政府が出展する「循環」をテーマにしたパビリオン「日本館」の内部が報道陣に公開された。わかめやひじきなど32種類の藻類に扮した「ハローキティ」が出迎えたという。万博協会も気運を盛り上げるため、ラストスパートに入っているようだ。
「しかし、チケット販売は伸びていません。協会はチケットの総販売数を2300万枚に設定。そのうち前売り券は1400万枚としていますが、1月22日の時点で販売数は約761万枚、半分程度にとどまっています。
協賛企業も購入数を増やしているようですが、それでも伸び悩んでいます。『目標達成は困難』との見方もあります」(社会部記者)
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一方、石破茂首相は「万博成功」への意気込みを隠さない。
19日には万博会場を訪れ、「シグネチャーパビリオン」「日本館」「大屋根リング」などを視察。大阪府の吉村洋文知事とも会談した。
「石破首相の看板政策は『地方創生』です。1月28日に出席した『国際博覧会推進本部』の会合では、やはり地方創生と深くつながる大阪万博が話題になりました。石破首相は、『あと75日で開幕』『もうほとんど日が残っていない』『私自身も、面会した各国首脳に直接万博への来場を呼び掛けている』などと語り、万博への注力をアピールしました」(政治担当記者)
さらに、岩屋毅外相には「(万博を)重要な外交機会として活用してほしい」と求め、ほかの閣僚にも「一丸となって気運を盛り上げることが大事だ」と発破をかけました。
「会合で、一人一人の閣僚の名前を呼びながら指示を出すのは異例です。さらに、前売りチケットを購入しやすくするように指示をしたので、自民党内からも驚きの声が上がりました」(在阪自民党議員)
こうした石破首相の言動は「日本維新の会への秋波」との見方が大勢を占める。
「自民党は2024年10月の衆院選挙で大敗を喫し、少数与党となりました。開会中の通常国会では2025年度の予算案成立が最大テーマですが、そのためには野党の協力が不可欠です。
国民民主党は基礎控除額を103万円から178万円への引き上げを求めていますが、金額が折り合わず、連携交渉は難航するでしょう。
立憲民主党とは学校給食費の無償化で協議継続中ですが、立憲は予算案審議に“ガチンコ”で臨む構えですから、手を組むのは難しい。
そうなると頼みの綱は、日本維新の会です。維新は万博推進の立場で、その成功は至上命令。予算案への同意を取り付けたい石破首相としては、万博に協力することで維新に恩を売りたいところでしょう。さらに維新も、旗印とする高校授業料無償化を継続協議に持ち込めれば、その見返りに予算案に賛成するはずです」(自民党大阪府連関係者)
各国が集う5年に一度の祭典も、永田町の論理に左右されるということか。