社会・政治
石破茂首相、「年収の壁」問題に冷淡すぎる裏事情…参院選後に「立憲と大連立」財務省大喜びの仰天可能性
「国民のみなさまに(税収増ぶんを)お返しできるような状況かといえば、全然そうではない」
2月3日、石破茂首相は衆院予算委員会で、国民民主党が求める「年収103万円の壁」の178万円への引き上げについて否定した。
「現在、国会の審議を通じて『年収の壁』が非常に注目を受けている状況です。2025年から123万円に引き上げることが決まっていますが、国民民主党の求めとは大幅に乖離のある状態です。
妥協案として150万円まで増やすという報道も流れましたが、首相は『検討していない』ときっぱり。国民民主党に対して、かなり強硬な姿勢ですね」(政治担当記者)
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現在、少数与党である自民党が水面下でおこなう “綱引き” を解説するのは、元朝日新聞政治部デスクの鮫島浩氏だ。
「もともと123万円では低すぎるから、自民党や財務省も含めて、『140〜150万円くらいは仕方ないかな』という雰囲気は最初からあったんですよ。
ただ、“安売り” はしたくないから、とりあえず123万円で、できる限り押し通す。そして、最終的に予算成立の段階で国民民主党に賛成してもらうため、150万円まで譲るという案もありました。ただ、いまは状況が変化してしまいました」
キーパーソンは、日本維新の会の共同代表となった前原誠司氏だ。
「石破さんの心のなかで、国民民主党の玉木雄一郎代表(役職停止中)から前原さんに乗り換えたということです。
石破さんにとって、前原さんは “盟友” ですからね。鉄道好き、という共通の趣味もあります。玉木代表より、個人的な信頼はおいているでしょう。
前原さんは『高校教育無償化』を言い出していますが、これはわずか6000億円で達成できる政策なんですよ。『年収の壁』を実施したら数兆円の減収が見込まれますが、これに比べれば “安上り” なのは間違いない」(鮫島氏)
実際、ここにきて大阪万博を熱烈に応援するなど、維新への擦り寄り行動が目立つ石破首相。力学が変わってきて、国民民主を露骨に軽視する姿勢が出てきたわけだ。
「逆に、いま選択を迫られているのは玉木さんですよ。
玉木さんは、どうせ維新じゃ参院選に勝てないと踏んでいるはずです。だったら石破さんを見限り、たとえば自民党内で “反主流派” となりつつある麻生さんと組んで、石破おろしを盛り上げるという手もあります。そうなると、予算にも反対して対決姿勢に転じることになりますね。
なんなら石破さんは、玉木さんより立憲民主党の野田佳彦代表と仲がいいんです。参院選までは立憲とは絶対に組めないでしょうが、参院選が終われば、国政選挙はしばらくないので、いっそのこと、立憲と大連立したほうが政権は安定します。これには財務省も万々歳でしょうね」(同)
だが、世論の反発は必至だ。
「国民民主党が思いっきりテーブルを引っ繰り返して『自民党は最低だ』と言って参院選に挑めば、自民党を脅かすほどの勢力拡大を遂げるかもしれません。自民党としては、これ以上、議席を減らすわけにはいきませんから、やはり123万円のまま、というのは厳しいですよ。いずれにせよ、参院選は一筋縄ではいかないでしょう」
これまで以上に、投票による意思表示が大切になりそうだ。