社会・政治
【道路陥没】発生1週間でも復旧のメド立たず、看板落下の和食チェーンは「人命救助を第一に」と言葉少な…補償について県の見解は?
埼玉県八潮市の県道で、下水道管の破損が原因とみられる道路陥没事故が発生したのは1月28日の午前だった。深さ10m幅5mの陥没にトラックが落下、74歳の運転手の安否は1週間以上がたった2月5日現在でもわかっていない。
「地盤が砂混じりのために軟弱で、さらに下水道管内では下流部分に何かが詰まっているようで、下水の逆流が発生して管外にあふれ出しています。
そのため、陥没した “壁” の部分が今でも徐々に崩れており、陥没の深さは最大15mに達しています。
下水道管とは別の雨水管のコンクリートも散乱していることから、重機を投入したものの、救出活動は遅々として進まない状況です」(事件担当記者)
関連記事:【八潮市・道路陥没事故】専門家が語る“沈黙から突如、大事故へ”のメカニズム「大都市ではどこでも起こりうる」
周辺住民の生活にも影響が及び始めた。
2月4日、埼玉県の大野元裕知事は下水道管に流れ込む排水を減らすため、県内12市町の住民に、午後2時から午後5時までの3時間、節水して排水量を減らすように求めたが、大野知事自身も認めているように、明らかな効果は認められなかった。
長期戦が危惧されるなか、休業を余儀なくされている周辺の飲食店には戸惑いが広がる。
なかでも、29日午前1時にトラックの荷台が引き上げられた際、新たな陥没ができて巨大な看板が地中に落下し、その後は店舗前の駐車場のアスファルトがスロープ工事のため引き剥がされた「和食麺処サガミ八潮店」に同情の声が寄せられている。
同店のホームページには「お客様、及び従業員の安全確保を最優先とし、当面の間 店舗の営業を休止させていただきます」といった表記があり、「営業休止期間は未定」とある。
同店を運営する「サガミホールディングス」に現状を聞いた。
「まずは(安否がわからない)ドライバーさんの人命救助を第一に願っております。
店舗としましては、事故発生以来、われわれも店内に入れないので状況がわかっておりません。従業員は他店にまわったり、お休みを取っていただいたりしております」
気になるのは、店舗の復旧費用や売上補償だ。同社の担当者は戸惑いを隠せない様子でこう話す。
「現段階では不明な事項が多すぎるので、(逸失の)売上や店舗復旧費用などを確認するまではなんとも言えません」
一方、陥没の原因とみられる下水道管を管轄する埼玉県の下水道管理課は、相談電話を開設して、「売上が落ちた」と訴える飲食店などの相談に乗っている。
だが本誌の取材には、「現時点で補償に関することは具体的には決まっておりません。専門家で構成される委員会で究明された事故原因に基づいて対応していくことになると思います」と語るだけで、見通しは立っていないようだった。
一刻も早いドライバーの救出と通常の市民生活が戻ることを願いたい。