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48万円の書籍が予測10年後に大儲けする企業とは(1)

社会・政治 投稿日:2018.01.30 11:00FLASH編集部

48万円の書籍が予測10年後に大儲けする企業とは(1)

写真:aflo

 

 2017年12月15日、日本経済新聞朝刊に掲載された、ある新刊書籍の広告が話題になっている。

 

『未来市場2018-2027』(日経BP社)というタイトルで、人工知能(AI)、自動運転、仮想通貨など、有望市場の10年後の未来の市場規模を予測するものだ。読者の度肝を抜いたのはその価格。A4判278ページながら、48万6000円(税込み)という衝撃的なプライスがついていたのだ。

 

 監修・執筆のミレニアムパートナーズ代表取締役、秦充洋氏が語る。

 

「従来の類書は、市場規模がいくらになるという根拠を示さず、結論だけが書かれているものが大半でした。本書では、算出した根拠を示し、これまでまったく存在しなかった市場についても分析しているのです」

 

 たとえば下記の「電気自動車」は、現在の市場規模は約1700億円だが、10年後には約1兆6000億円と9倍以上に成長している。どのように数字を導き出すのだろうか。

 

 ごく単純化していえば、これは2017年時点の乗用車の販売台数、日産「リーフ」など各電気自動車への買い替え率などを掛け合わせ、顧客数の増加ペースや人口動態などを曲線グラフで導き出し、組み合わせて算出したものだ。

 

 もちろん、関係者からのヒアリングや、需要が急増するタイミングや要因の見極めなど、職人芸が注ぎ込まれている。

 

「購入者は、企業の経営企画部や新規事業開発部。明らかに個人は買わないでしょうね(笑)。企業の経営企画部門などは、新規事業を立ち上げるとき、役員を説得する材料が必要なんです。

 

 コンサルタント会社に市場調査を依頼した場合、一件あたり数百万円のコストがかかる。この定価はむしろ割安じゃないでしょうか」

 

 広告の掲載以降、問い合わせは急増し、初版100部のうち、すでに40部が売れた。年度末にはさらに上積みが期待できるという。

 


【電気自動車】9.29倍

(2017年市場規模1737億円→2027年の市場規模1兆6145億円)

 

 国内の乗用車販売台数は2017年の400万台から10年後は20万台程度減るが、うち電気自動車は44万台(11.7%)を占めるとみられる。充電スタンドも2016年の17万台から237万台へと急増。設置やメンテナンスもビジネスチャンスで約978億円の市場となる。

 

●注目の「先行企業」関東電化工業ほか

 外国メーカーがEVにシフトするなか、日本勢はやや出遅れ気味。関東電化工業、ステラケミファ、戸田工業など電池銘柄に注目。

 

【家庭用畜電池】44.5倍

(2017年の市場規模886億円→2027年の市場規模3兆9436億円)

 

 震災時などの非常時にエネルギー確保の必要性があり、経産省は世界の蓄電池市場の50%のシェアを目標に掲げる。 2019年には、2009年から始まった電力会社の余剰電力買い取り義務が終了、以降は年30%の成長が見込めると予測。2027年の一般家庭の普及率は55.7%に。

 

●注目の「先行企業」テスラ

 電気自動車メーカーが先行する蓄電池。米テスラに一日の長がある。パナソニックもトヨタと協業を開始し、一歩も引かない。

 

【家庭用3Dプリンター】83.8倍

(2017年の市場規模23億円→2027年の市場規模1927億円)

 

 CGデータをもとに、フィギュアや便利グッズなど、立体モデルを作れる3Dプリンター。2017年の家庭用機の普及率は0.1%で、2027年には7.8%まで拡大。現在は10万円程度の中価格帯の機種が9割以上のシェアを持つが、4万円程度の機種もシェアを伸ばす。

 

●注目の「先行企業」リコー

 経済産業省も2020年に世界市場規模が1兆円を超えると予測。リコーが群を抜く販売網と、最先端技術でリードする。

 

【個人向けサービスロボット】51.2倍

(2017年の市場規模247億円→2027年の市場規模1兆2637億円)

 

 公共空間や家庭で会話や動きによって人とのコミュニケーションが取れるロボット。2015年に政府が「ロボット新戦略」を発表。日本を世界のロボット拠点にするため官民が協力。この協力体制が続けば、2027年には世帯主が60歳以上の家庭の20%に普及する見込み。

 

●注目の「先行企業」ソフトバンク

「ペッパーを開発したソフトバンクが先行しましたね。その他高齢者コミュニケーションなどに期待が高まっています」(秦氏)

 

【健康関連アプリ】1.6倍

(2017年の市場規模340億円→2027年の市場規模550億円)

 

 2020年にはスマホの普及率が90%に達し、その後も横ばいの傾向が続くと予測されている。健康関連アプリはスマホの利用が前提。しかもターゲットゾーンが20代から60代と幅広いのも特徴で、2027年には約5393万人がこのゾーンにいると推定されている。

 

●注目の「先行企業」タニタ

「外資系の大手製薬会社もアプリ開発に乗り出しています」と秦氏。タニタの関連会社タニタヘルスリンクも注目されている。

 

【遺伝子検査】23.7倍

(2017年の市場規模97億円→2027年の市場規模2297億円)

 

 高齢化にともなう医療費の増大が社会問題となり予防医学に注目。インターネットで検査提供企業に申し込み、自宅に郵送されてきた検査キットで唾液を採取して返送するという手軽さで伸びが期待される。2017年の検査率は0.6%だが、2027年には6.21%に上昇。

 

●注目の「先行企業」DeNAほか

「コストが下がってDeNAやヤフーなどが参入、解析に必要なデータの蓄積が始まりました。これからに期待ですね」(秦氏)

 

【ポイントサービス】1.5倍

(2017年の市場規模1兆5037億円→2027年の市場規模2兆2189億円) 

 

 消費機会に対するポイント発行率は2017年は40%と仮定。2027年には53.8%となる。消費される金額が、120兆円弱→170兆円超と増加することもあり、成長が見込まれる。企業による顧客囲い込みも激化し、ポイント付与率も高くなる。

 

●注目の「先行企業」三菱商事

 関連会社ロイヤリティマーケティングが運営。リクルートポイントを取り込むなど、大胆な巻き返しを図る。

 

【貸付型クラウドファンディング】84.9倍

(2017年の市場規模53億円→27年の市場規模4500億円)

 

 現在は個人や事業者を“応援”し、金銭以外のものを受け取る「購入型」が人気だが、事業者に資金を貸し付け、分配金を受け取る「貸付型」が主流に。金額はクラウドファンディング会社の手数料収入で、実際の貸付け金額は12兆円に迫ると予測される。

 

●注目の「先行企業」サイバーエージェント

 子会社・マクアケは、映画『この世界の片隅に』が大成功。1億円レベルの大規模な案件も成功させている。

 

【仮想通貨】5.5倍

(2017年の市場規模430億円→2027年の市場規模2371億円)

 

 2025年時点で、現在のFX取引の25%が仮想通貨取引に移行すると推定されていることもあり、個人取引に限っても、5.5倍の成長が見込まれている。もっとも、法規制が強化されたり、2014年のビットコイン消失事件のような信用性を損なう事件が起こるリスクも。

 

●注目の「先行企業」三菱UFJフィナンシャルグループ

「大手金融機関が扱うと伸びるでしょう」と秦氏。「MUFGコイン」を行員向けに試験導入している同グループが先行している。

 

(週刊FLASH 2018年1月16・23日合併号)

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