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「石破・トランプ会談」を池上彰氏が採点! 期待値の低さゆえの高評価もくすぶり始めた“石破おろし”の思惑

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記事投稿日:2025.02.15 15:30 最終更新日:2025.02.15 16:01
出典元: SmartFLASH
著者: 『FLASH』編集部
「石破・トランプ会談」を池上彰氏が採点! 期待値の低さゆえの高評価もくすぶり始めた“石破おろし”の思惑

2月13日、衆院本会議で米国訪問の報告をおこなった石破茂首相(写真・長谷川 新)

 

 2月7日におこなわれた、石破茂首相とドナルド・トランプ米大統領との首脳会談から1週間。その余波は、国内にも伝播していた──。

 

「会談は終始、なごやかな雰囲気でおこなわれ、トランプ大統領の口から石破首相を『彼はタフガイだ。でも彼は、本当にナイスガイだ』と、ベタ褒めする言葉も飛び出していました。また、日米同盟の抑止力をさらに強化することで一致。尖閣諸島に日米安保条約5条が適用されることも確認されました。日本製鉄によるUSスチールの買収問題では、『買収』ではなく『大規模投資』とする新たな解決策が示されています。

 

 

 さらに、日本からアメリカへの投資額を、現在の8000億ドル(約120兆円)から1兆ドル(151兆円)に引き上げる提案も、石破首相から伝えられたことが明らかになりました。訪米前には、外交、防衛、経済、貿易、農業などの各担当官僚が、休日も含めて30時間以上に及ぶレクチャーをしたともいわれ、準備は万端だったようです。訪米前の期待値が低かっただけに、予想以上の成果をあげたといえるでしょう」(政治部記者)

 

 この会談を「85点」と高く評価するのが、ジャーナリストの池上彰氏だ。

 

「会談前は、2人の相性に関して不安に思っていた人が多かったと思います。結論からいえば『成功』ではあったと思います。

 

 安全保障の面では『日本を100%、守る』との言質を取ったことで満点。経済や貿易でいえば『日本製鉄はUSスチールを買収するのではなく、投資をする』という言い方は巧みでした。ただし、会談後にトランプ大統領が『日本製鉄に、USスチールの株を過半数は買わせない』と明言してしまったので、5点減点。『日本には関税をかけない』との約束ができなかったところで5点減点。トランプ大統領を怒らせないために仕方のないことではありますが、おもねっている感じが強く出てしまったところで5点減点でした。この部分は、今後に期待しましょう」

 

 池上氏同様、各メディアの報道をみても、会談は成功したという見方が強い。その一方で「大失敗」だったと手厳しい意見を述べるのは、元朝日新聞政治部デスクの鮫島浩氏だ。

 

「石破首相は、トランプ大統領に完全にやり込められたと思います。アメリカのメディア、たとえばワシントン・ポストは『日本のリーダー、関税回避のためにトランプに媚びる』と報じ、ニューヨーク・タイムズは『トランプを口説き落とすため、ごますりを駆使する』と酷評していました」

 

 鮫島氏も池上氏と同様に、日本製鉄の買収や関税問題についての立ち回りを「失敗だ」と断言したうえで、そもそも、会談が最初から失敗となるのは予測できたと語る。

 

「国会は少数与党で、自民党内でも権力基盤はきわめて脆弱な石破首相を、トランプ大統領が本気で相手にするでしょうか? 今回の首脳会談が最初で最後、と考えていたとしても不思議ではありません。だから会談では、ほとんど真面目に相手をしなかったのです。今後、日米首脳会談の失敗がもっと明らかになってくれば、石破首相は窮地に立たされることになるでしょう。それは、石破首相の“政敵”である麻生太郎最高顧問らにとってはチャンスでしょうね。その意味では、今回の日米首脳会談で“石破おろし”の号砲が鳴ったともいえるのです」

 

 実際、“反石破”の大物議員たちがうごめき始めている。1月22日、麻生氏を中心とする勉強会「麻生塾」が発足し、初会合が都内の日本料理店で開かれた。

 

「会合には麻生派議員のほか、旧安倍派や旧二階派の中堅・若手議員らが出席したそうです。今後も、月に1回のペースで開く予定だといいます。また2月4日、高市早苗前経済安保担当相が、選択的夫婦別姓問題を訴える『保守団結の会』の講演をおこないました。20人以上の現職議員が出席したとか。ほかにも、茂木敏充前幹事長も1月29日、国会内で勉強会を開き、萩生田光一元政調会長ら約60人の国会議員が参加したようです。いずれも、今後の政局に備える狙いがあるでしょう」(政治部記者)

 

 では、政局はいつ本格的に動き出すのか?

 

「すでに“石破おろし”はくすぶり始めていますが、それがいつ本格化するかといえば、2月下旬に衆議院で予算案が採決されるころからでしょう。予算案が成立するまでは、石破首相に予算審議という嫌な役をやらせて、予算案が通ったら石破首相を変えようというのが、麻生氏あたりの戦略です。石破首相にとっては、国民民主と維新の協力を得て、衆議院で予算を成立できるのかどうかが、最初の難関です。もし予算が通らないとなると、政局は大混乱になって、石破首相を辞めさせるか、あるいは予算だけは通すという形で、野党に協力を求めて生き延びるか。

 

 いずれにせよ自民党内では、石破首相では7月の参院選に勝てないというのが共通認識。それまでに“顔”を変えて選挙に臨みたいという思惑が、党内にはあります。場合によっては、3月末の予算成立を花道に石破首相を退陣させて、参議院選前に再び総裁選をやる、という流れになるかもしれません」(鮫島氏)

 

 首脳会談「成功」に見えて、石破首相はいつの間にか崖っぷちに立たされていたのかも──。

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