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【独自】16歳高校生がミャンマーで保護、暗躍する中国系犯罪組織「日本人狩り」の実態…1人50万円、暴力団の手で海外へ

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記事投稿日:2025.02.24 17:46 最終更新日:2025.02.24 17:48
出典元: SmartFLASH
著者: 『FLASH』編集部
【独自】16歳高校生がミャンマーで保護、暗躍する中国系犯罪組織「日本人狩り」の実態…1人50万円、暴力団の手で海外へ

2月20日、詐欺に関与した疑いのある中国人200人が、移送先のタイから中国に送還された(新華社/アフロ)

 

中国マフィアで特殊詐欺をやっているグループが、いちばん欲しがるのは日本人だ。よく働き、勤勉で、指示に逆らわないからだ。しかも、日本人はカネ持ちが多いから、“売り上げ”も上がるしね」

 

 そう語るのは、都内の暴力団関係者だ。ミャンマー東部の国境地帯で、中国系の犯罪組織が大規模な特殊詐欺の拠点を形成し、外国人を監禁してオンライン詐欺などに加担させていたという事件。現地に渡航していた16歳の日本人男子高校生が保護されたことで注目された。

 

 高校生は「電話で警察官などを騙る詐欺に加担させられた」「日本語で高齢者を騙すように指示されていた」と明かしている。同様の日本人は、20人以上にのぼるようだ。

 

 

 タイの国境に近いミャンマー東部・ミャワディの拠点には何棟もの宿泊施設があり、国際的な詐欺に加担させられている外国人1万人以上が居住しているとみられている。

 

「この犯罪拠点の中心にいるのは、中国マフィアだといわれている。彼らは、中国に旅行に来た人間を国籍に関係なく拉致し、ミャンマーのこの“犯罪ビル”に送り込み、自分の母国に電話をかけさせ、特殊詐欺をさせるんだ。食事や宿泊場所を与え、ひたすら電話させる。あまり“収益”を生まない奴は、食事を作ったり、見張りをしたりさせられる。1万人もの人間が暮らしていれば、仕事はいくらでもある」(前出・暴力団関係者)

 

 現在までに、そのうち最多の約3700人を占める中国人の送還が始まっており、そのほかにもエチオピアやケニア、フィリピンやブラジルなど、20もの国と地域の260人が2月12日までにタイ側に引き渡された。これだけ大きな国際問題になっているにもかかわらず、今なお日本国内にはこうした詐欺のための人員を中国マフィアへと斡旋する稼業がはびこっているようだ。

 

 2月13日、ミャンマーの中国系犯罪組織の拠点に、オンラインゲームで知り合った日本人高校生(前出)を誘拐して監禁したとして、藤沼登夢(とむ)容疑者(29)が、タイの警察当局に身柄を拘束された。藤沼容疑者は、日本で活動する半グレ集団「チャイニーズドラゴン」のメンバーとみられており、同月には同グループのメンバーとみられる4人も身柄を拘束されている。前出の暴力団関係者は、こう続ける。

 

「こうした半グレ組織だけでなく、日本のヤクザも各組織ごとに中国マフィアと独自のネットワークを持っている。以前は、中国と覚醒剤の取引などをしていたが、最近はこうした特殊詐欺における“人員あっせん”での繋がりができている組もある」

 

 その手口を別の暴力団関係者に聞くと、在京の指定暴力団の2次団体がおこなっている「日本人狩り」の実態を明かしてくれた。

 

「中国マフィアに日本人を売ると、あっせん元のヤクザには、50万円ほどの報酬が入ってくる。人命にしては安い額だし、一人送り込むのに2、3人の手を借りるから、取りぶんはさらに少なくなるよ。だから3、4人集めて一気にミャンマーに飛ばすんだ。空港まで連れて行き、飛行機に乗せてしまえば、あっせん元の仕事は終わり」

 

 そんな「狩り」のターゲットになったのが、ギャンブルで2000万円ほどの借金を作った20代の男性だ。

 

「男はその2次団体からもカネを借りていて、今年に入って首が回らなくなったんだ。それで、その団体から『ミャンマーに行ってこい。向こうに行ったら稼げるから』と言われたという。俺は『やめておけ』と忠告したが、その後連絡が取れなくなってしまった。行ってしまったんだろうな……」(同前)

 

 なぜ、ミャンマー行きを止めたのか。

 

「ミャンマーに行ったって、稼げるわけじゃない。それに、向こうでは身の安全なんてなんの保証もないからね。報道されているとおり、スタンガンなどで脅されることは日常茶飯事だと聞くし、見せしめで殺されることはいくらでもある。生きて帰ってこられる保証はまったくない」(同前)

 

 2月にタイ当局が拘束した前出の日本人の男4人は、中国系の特殊詐欺組織の構成員として滞在していた。彼らは、日本人の指導係として働かされていた可能性もある。

 

「そもそも、ミャンマーでおこなわれている特殊詐欺は、日本発祥のシステムだよ。それを中国で大規模にまねて、今回のような事態に発展しているんだ。ただ、日本では詐欺をやらせる人員は相当慎重に確保するのに、向こうはかなり手荒。しかも、1万人以上を拘束して特殊詐欺を世界中でやらせるのは、さすがにやりすぎだ」(同前)

 

 日本暴力団を介した中国マフィアの「日本人狩り」。犠牲者をこれ以上出してはならない。

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