社会・政治
【兵庫県知事問題】維新・吉村共同代表“情報流出”3県議に示した“同情”背景にある“パレード問題”飛び火の懸念
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立花孝志氏への情報提供について弁明する(左から)兵庫県の増山誠県議、岸口実県議、白井孝明県議(写真・時事通信)
2024年の出直し選挙で返り咲き再選をした斎藤元彦兵庫県知事。選挙の発端となったパワハラ告発文書を調べる、百条委員会の信頼は地に落ちた。
「同委員で『日本維新の会』の岸口実県議と増山誠県議が、県知事選に立候補した『NHKから国民を守る党立花孝志』の立花孝志党首に、同委員会の音声データや、知事選後に辞職し後に死亡した元県議に関する真偽不明の文書を渡していたことが発覚したのです」
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2月23日には、岸口県議と増山県議に加え、知事選中に立花党首と連絡を取り合い、事実上の“窓口役”になっていたとされる白井孝明(たかひろ)県議ら3人が会見を開いた。
「会見では、3人がそれぞれ“情報漏洩”に関する弁明をおこないました。岸口県議は、立花氏と会った理由について『おつき合いのある方から誘われたので、会いに行った。斎藤氏の再選を願ったわけではない』と語り、増山県議は『(立花党首は)非常に発信力のある方なので、立花氏に伝えることで、県民のみなさんが事実を知ることができるのでは、と思った。私は立花氏がいまでもデマを言っていたとは認識していない』、白井県議は『(メディア報道について)正しく報道されていないと思った』と、それぞれ釈明しています」(政治担当記者)
だが、百条委員会のメンバーでありながら、委員会で知りえた情報を立花氏に勝手に伝えていたことには、大きな政治責任が問われるはずだ。
「増山県議は離党届を出したことを明らかにしましたが、ほかの2人は判断を保留しています。3人とも、県知事選では維新を離党して立候補した、清水貴之前参院議員の選対にいたはずです。それなのに、他党の代表として立候補していた立花氏と接触していたわけですから、何らかの党内処分は避けられないでしょう。さらに、立花氏に渡した音声データは、そもそも最初から“流出を狙って”録音されたものではないか、という疑惑も地元でささやかれています」
一方、維新の共同代表である吉村洋文代表は、ことの重大さを理解できていないのか、曖昧な態度に終始している。増山県議が音声データを立花党首に渡したことを認めた翌日、20日の会見では「岸口県議の件も含めて、事実や動機を含めて説明させ、説明責任を果たさせるのが重要で、それを今週末におこなう予定」とし、さらに「本人たちの思いがあるのはわかりますが、ルール違反。しかも相手は他党の党首、思いはわかるけど、ルール違反です」と、“同情”するような言動を示したのだ。
吉村代表の発言の真意を、兵庫県議会関係者がこう語る。
「亡くなった元県議が追及していたのは、『オリックス・阪神の優勝パレード寄付金』への、県内企業からの補助金還流疑惑です。この問題は斎藤知事だけでなく、パレードの実施を進めていた吉村氏にも責任が及びかねない問題です。吉村氏としては、岸口県議らの“違反行為”は自分を守ることにもつながるため、配慮が必要だと考えているわけです。それが2回も『思いはわかる』と繰り返した理由ですよ」
自らのことを考える政治家ばかりのようだ。