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「女性用トイレを設置して」大阪万博の“地獄の建設現場”から悲痛な投書…業者は設置認めるも数は無回答

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記事投稿日:2025.03.06 20:25 最終更新日:2025.03.06 20:44
出典元: SmartFLASH
著者: 『FLASH』編集部
「女性用トイレを設置して」大阪万博の“地獄の建設現場”から悲痛な投書…業者は設置認めるも数は無回答

万博を推進する石破茂首相と吉村洋文大阪府知事

 

《これが令和の現場ですか? 一刻も早く女性用トイレを設置してください。切実にお願いしたいです》

 

 大阪府が公式ホームページで公開している「府民の声」に投稿された電子投書が話題を呼んでいる。この投稿を「毎日新聞」が報じた直後から、一気にSNSで拡散した。

 

 

 パビリオンの中で作業をしているという投稿者の女性は、《現場には男性用トイレしかなく、女性用トイレがない》としたうえで、

 

《トイレに行けるのは、駅に着いた朝7時、仕事が終わって駅に戻る18時ごろ》

 

《作業場は極寒で、膀胱が破裂しそうになるのを耐えながら仕事をしている》

 

 と、信じられないような状況を訴えたのだ。

 

「『府民の声』は2008年6月から運用されており、府民からの電子投書による意見や要望がすべて公開されています。さらに、担当部署の判断で回答もなされています。女性は2024年12月6日に投稿し、1月31日にその内容が公開されましたが、いまだ回答はありません」(社会部記者)

 

 実際、工事現場に女性用トイレが設置されることは少なく、「悲惨な状況になりがちだ」と語るのは大手ゼネコンの女性社員だ。

 

「最近は、女性の現場管理者も増えてきました。それでも作業に携わる職人は男性がほとんどで、わざわざ女性専用の仮設トイレを設けることは珍しいくらいです。多くの設備は、電話ボックス程度の大きさです。大規模現場のトイレは複数の個室がある建屋型もありますが、女性用は希少。仮設トイレはもちろん汲み取り式で、壁がうすいので音も聞こえるし、何よりまともに清掃されていないため“悲惨”な状態になりがちです。しゃがむ必要がある女性が用を足せるようなものではありませんね」

 

 では、万博会場の実情はどうなのか。万博会場の全体施工ルールによれば、仮設トイレなどの設備は全体統括管理者である「2025年日本国際博覧会協会」が担うことになる。同会の広報窓口である内閣府国際博覧会推進本部の広報センターに、施設建設中の万博会場におけるトイレの設置状況について問い合わせると、

 

「大阪万博の公式HPにある『会場全体施工ルール』に書いてある通り。個別にはわからない」

 

 という回答があった。しかし「会場全体施工ルール」を見ると、仮設トイレについては会場の各区画の統括施工者が設置すると定められているだけで、具体的な状況は不明だ。

 

 そこで北東工区の統括施工者であり、また会場全体の施工管理者になっている大手ゼネコンの大林組に女性専用のトイレを設置しているのか、そして数はいくつか問い合わせたところ、

 

「建設工事中のトイレは、会場の各工区統括施工者が、関係者が利用できる仮設トイレを設置するとともに、各パビリオンにおいても、各々の施工会社が、事業主との請負契約の範囲や要件で仮設トイレを設置しております」

 

 と、やはり個別の設置状況についての把握していないという。ただし、大林組が施工管理者になっている北東工区については、

 

「2023年4月の着工から、現場内と事務所エリアのいずれにも男性、女性それぞれ専用の仮設トイレを設置しております。なお、いずれも便座付きトイレとなります(男性専用トイレには小便器も設置)。2025年1月からは会場内の給排水設備の供用開始に伴い、博覧会協会様施設の一部で、本設のトイレの供用を開始しております」

 

 と、女性用トイレを設置しているものの数については回答がなかった。

 

「広大な会場内に女性用トイレはあるにはあるが、投稿した女性が働くパビリオンの近くには設置されていなかったということかもしれませんね。万博会場の広さは東京ドーム約33個分なので、女性用トイレがあるといっても近くになければ意味がない。仕事中にトイレのために30分も歩くこともできませんよね。万博のテーマは、多様性を認め、『いのち輝く未来社会のデザイン』を実現するというもの。現場で働く女性が満足にトイレにもいけない状態の、どこが未来社会なのか……」(社会部記者)

 

 問題はトイレだけにとどまらない。限られた工期で“突貫工事”を余儀なくされる現場からは悲鳴があがっている。

 

「着工当初は参加国がなかなか出揃わず、参加辞退などもあって、そもそも担当工区の設計図面すら上がってこない状態でした」

 

 実際に工事に携わる中堅ゼネコンの担当者はこう明かし、続ける。

 

「図面がなければ資材も発注できません。大型工事があれば地域にある在庫資材の価格は必ず高騰するため準備は不可欠なのに、見切り発車で進めている状態。ちょうどコロナ禍が終わり、一気にあちこちで工事が再開されたこともあり、同じ工事をするにも最低で1.5倍、下手をすれば1.7倍も資材価格が上がっているんです。大方の予想を立てて発注していましたが、案の定、資材が足りていません。

 

 すでに万博会場の建設費は当初予算の1250億円から2350億円と大幅に上振れしていますが、じつは、資材の値上がりは建設完了後に精算する予定です。工期に間に合わせるために、資材価格がいくらであっても購入している状況ですから、どれほど積みあがっているのか恐ろしいですよ。結局、税金で穴埋めすることになるのでしょうが、この価格に納得してくれる人がいるのか今から不安です」

 

 赤字だけが輝く万博……。

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