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トランプ政権“暴走”の裏に浮かぶ“親衛隊”4人の存在…識者が解説する「本人よりトランプ的」な人物像

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記事投稿日:2025.03.07 18:55 最終更新日:2025.03.07 19:27
出典元: SmartFLASH
著者: 『FLASH』編集部
トランプ政権“暴走”の裏に浮かぶ“親衛隊”4人の存在…識者が解説する「本人よりトランプ的」な人物像

トランプ米大統領の後ろに立つヴァンス副大統領(左)。ゼレンスキー大統領との会談でも、その発言は問題視された(写真・代表撮影/ロイター/アフロ)

 

 ウクライナゼレンスキー大統領との会談で、公の場にもかかわらず言い合いとなり、“決裂ぶり”を見せてしまった米トランプ大統領。ほかにも、在任1カ月で数々の“暴走”ぶりが報じられてきた。彼にはどのような“側近”がいるのか――。米国の現地情勢に詳しい上智大学の前嶋和弘教授に話を聞くと、“トランプ親衛隊”とも呼ぶべき、4人の存在が浮かび上がってきた。

 

 まずは、ゼレンスキー大統領との会談での発言が問題視された、副大統領、J・Dヴァンス氏についてだ。

 

「ヴァンス氏は『ラストベルト(錆びついた地帯と呼ばれる米北東部、五大湖周辺の脱工業地域)』から、地べたをはいつくばるようにしてビジネス界に出て、成功した人物です。こうした経歴から、一部では『ずる賢い』と評する向きもあるようです。

 

 

 彼は2022年の中間選挙で、オハイオ州から上院選に出馬しています。当初は『ラストベルトを救うのはポピュリズムではない』と、トランプ氏に批判的だったんです。そのため、トランプ氏支持者が圧倒的とされるオハイオ州では、予備選の票が伸び悩みました。それでは勝てないと学んだのか、現在は『トランプ以上にトランプ』といわれるほど、『すべて、これが正しい』と強く断言する“トランプ的な”言動に変わっていきました。

 

 政治家としての経歴はそれほど積んでいませんが、事実上、ウクライナのゼレンスキー大統領との交渉役でもあります。共和党内からは『次の大統領選では、彼が共和党の候補になるでは』という声も聞こえるほど、党内評価は高いのです」(前嶋氏・以下同)

 

 次に、政府効率化省(DOGE)トップにしてテスラ社CEOのイーロン・マスク氏も、トランプ氏の盟友として名高い。

 

「天才的技術者であり、経営者である彼の性格は『ワンマンで、思い込みで突っ走るタイプ』です。かつてはトランプ氏の政治姿勢などに否定的だったのですが、2024年にトランプ氏が演説中に銃撃されて以降、極端なほどの“トランプ応援団”に転向しました。

 

 マスク氏にとって、自社に都合がいい規制緩和をしてくれるトランプ氏の在任はメリットがあります。トランプ氏にとっても、マスク氏は大統領選で巨額の資金を提供してくれ、有権者などのデータ収集が集票に役立ちました。

 

 トランプ氏とマスク氏は“相思相愛”です。ワシントンでは当初から『すぐにけんか別れする』といわれていましたが、中国やイランとの要人ともパイプを持つマスク氏は、トランプ氏にとって使い勝手がいい。懐刀となるでしょう。

 

 一方、共和党内では『政治屋』との悪評もあります。ビジネスの手法を議会運営に持ち込んだり、公務員を削減したりなどの強引なマスク氏の姿勢は、米国内で大きな混乱を招いています」

 

 そして、国務長官のマルコ・ルビオ氏。

 

「キューバからの移民2世で、家庭は決して裕福ではありませんでした。そこから上院議員になった、立志伝中の人物です。バランス感覚のある政治家で、米国内はもとより、日本の政界からも評価は高いですね。

 

 2016年の大統領選では、共和党の候補者指名でトランプ氏と争った、かつてのライバルでもあります。当時、トランプ氏からは『背も低いが“男”としても小さい』と、卑猥な表現をまじえて批判されましたが、予備選でトランプ氏に敗北すると、彼の軍門に降りました。トランプ氏はかつての敵であっても、味方に転向すれば大切にしますから、いまでは彼を有能な部下と思っています。トランプ氏の右腕として、外交をひとつひとつ進めていくことが期待されています。

 

 今回、名前をあげたなかでは、もっとも政治的能力が高いと思います。日本の政界からは『次の大統領候補』と目されるほどです」

 

 最後のひとり、党内外からすこぶる評判が悪いとされるのが、国防長官のピート・ヘグセス氏だ。

 

「彼は、共和党の“プロパガンダ機関”とも揶揄されるFOXニュースの元キャスター。『トランプ氏をインタビューした』という縁で、国防長官に任命されました。怒りやすい性格といわれ、自らの性的暴行が告発される(本人は否定)など、黒い噂が絶えません。

 

 その人物が、国内最多の公務員がいる巨大組織の国防総省をマネジメントできるのか……。政治的経験もありませんし、とても問題があると思います。

 

 ヘグセス氏の国防長官就任には、共和党の重鎮であるマコネル前上院院内総務も反対したくらいです。議会でも賛成50、反対50と拮抗し、同数の際の慣例として、副大統領が1票を投じたため、かろうじて承認されたという不人気ぶりです。

 

 国防長官としてトランプ氏が期待する役割は、軍を統括するというより、ジェンダー平等などを訴える反トランプ的な勢力を処分し、力をそぐことでしょうね」

 

 かつてのライバルや批判者をも“手下”にし、自分と思想を同じくする人物で周囲を固める政権工作。こうした“親衛隊”の存在が、トランプ政権の“暴走”を生み出しているのだろう。

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