社会・政治
ヒカル、堀江貴文氏も続々言及…過熱する「財務省解体デモ」財務官僚が明かす “困惑” 本音は「うるさいだけ」

財務省解体デモに言及したヒカルと堀江貴文
日本の中枢・霞が関のほぼ中央に位置する財務省の前が、いま騒然としている。原因は連日繰り返されている “解体デモ” だ。
「とくに2月から、『財務省分割解体』『消費税をぶっ壊す』『財政均衡主義をぶっ壊す』などと書かれたプラカードを掲げたデモ隊が入り口付近に陣取り、断続的に集会を開き、気勢を上げているんです。
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SNSなどで拡散されたことで、回を追うごとに人数が増えています。3月14日には財務省や全国の財務局10カ所の前で一斉デモが予定されているそうです。主催団体の担当者は、団体としてSNSを活用した動員はしていないと話していますから、自発的なものなのでしょう。
彼らの主張は、財務省の財政規律を重視する姿勢を批判し、物価高で国民が苦しんいる理由は、税収を維持しようとする財務省に原因があるというものですね」(経済担当記者)
これまでも、2025年1月に亡くなった森永卓郎氏が唱えていた “ザイム真理教” など、財務省悪玉論はたびたび識者の間で議論されてきた。だが、積極財政派の議員や学者が中心で、デモなど市民レベルで声があがったことはほとんどない。
ターニングポイントになったのは、やはり「自民党・公明党の与党と国民民主党の『103万の壁』をめぐる三党合意」だと、先の記者が言う。
「去年の末、所得税が発生する所得額を103万円から178万円に上げることで合意ができたはずなのに、結局、反故になりました。減税規模が7兆円とも8兆円ともされ、自公与党や税収不足の影響を受ける地方自治体にはそれなりの言い分があるとは思いますが、国民からすれば、『103万円の壁』撤廃を公約にして選挙で大躍進した国民民主党を蔑ろにしたとしか見えない。
つまり、選挙で意思を示したのに、それをあからさまに無視されたと感じたわけです。その怒りが、今回のデモを拡大させているのだろうと思います」
このデモについて、著名人も次々と取り上げる事態になっている。
たとえば、YouTuber ヒカルは、YouTubeのリアリティー番組『令和の虎』2代め主宰者である林尚弘とともに同デモについて語る動画をアップ。
そのなかで、「(財務省は)自分たちが甘い汁を吸えるから、残りの大衆は犠牲になってもいいっていう考えはちょっとあるんじゃないですか」などと、財務省に対する “疑義” を語った。
一方、実業家の堀江貴文氏は自身のYouTubeチャンネルで、「努力しようぜみんな。お前が貧乏なのは財務省のせいじゃねえよ。お前のやる気とか能力が足りねえだけだよ」と発言。財務省を擁護する姿勢を見せている。
「さらに、YouTuberの間で話題になっているのは、“財務省による圧力” です。
たとえば元青汁王子こと三崎優太氏は、『テレビでは報じられない、財務省解体デモに参加してみた』と題する動画を投稿したところ、顧客企業から突如、取引停止の通告を受け、『間違いなく、タイミング的にもあの動画が原因だったんじゃないかなと思っています』と分析。
さらに、ヒカルさんも自身のXで《圧力とまではいかないけど予定してた案件が飛んだ笑 理由は飛び火を恐れてらしい》と、財務省デモについて触れた影響を語っています。
こうした状況を見た視聴者からは、そもそもメディアも財務省から圧力を受けているのではないか、といった一種の陰謀論も出てくる状況になっています」(前出・経済担当記者)
財務省はかつてない逆風にさらされているわけだが、では財務省の官僚はどう考えているのか。中堅財務官僚は苦い顔でこう語る。
「正直、うるさいなと思っているだけですね……。というか、そもそも彼らの主張のほとんどは我々に向けたものというよりも、石破内閣の倒閣運動のひとつだと考えています。いまの財務省には “諸悪の根源” と言えるほどの権限もありませんからね」
財務省が弱体化したのは、安倍晋三元首相の時代からだという。
「源流は、小泉純一郎政権で始まった『骨太の方針』ですね。民主党政権で一度廃止されましたが、安倍政権で復活しました。
簡単に説明すると、内閣府の閣議決定で政府の重要政策の予算の概略を決めてしまうという制度です。財務省からの出向者もこの策定に関与していますから、たしかに影響はなくもないんですが、かつての大蔵省のような “最強官庁” というパワーはもはやありません。
事実上、予算編成の権限は奪われており、官邸の方針で決まった予算の余りを、細々分配しているにすぎないんです。
“岩盤規制を打破する” と叫んだ安倍元首相の最大のターゲットは財務省で、その当時は散々いじめられたというか、蚊帳の外におかれていました。
こうした安部元首相の動きに対し、批判的だったのが石破さんです。だから、石破さんは “親財務省” だと睨まれているのでしょうね。
ただ、石破さんは決して財政規律を重視するタイプでもないですよ……。とにかく国に文句があるなら内閣府に言ってくれ、という感想しかありません」
国民の怒りに対し、エリートたちが責任を押しつけ合っている暇はないはずだが……。