社会・政治
大阪万博、海外パビリオン「建設完了」2割の惨状…開幕まで残り30日で展示内容にも懸念が

大阪万博に関連したポスターなどで機運を高めようとしているが…(写真・馬詰雅浩)
大阪万博の開幕日、4月13日まで残り30日となった3月13日、万博会場で海外パビリオン建設の著しい遅れが明らかになった。
時事通信によれば、出展する参加国が自前で手がける42棟のうち、外装が完成して万博協会から「完了証明」を受けたのは、約2割にあたる8棟だけ。一部は開幕までに展示の設置が間に合わない可能性もあるという。
「万博に出展する海外パビリオンは158カ国・地域になります。このうち、パビリオンを各国が自前で整備する『タイプA』47カ国42棟で遅れが顕著です。
当初、このタイプで出展するのは60カ国と見込まれていましたが、建築資材の高騰や人手不足などで撤退が進み、さらに建築契約が結べないことから遅れが生じました。
『タイプA』での出展を断念した国は、万博協会が建設した簡易型のパビリオン『タイプX』に切り替えるなどの対応をしています」(在阪記者)
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同記事では、《完了証明は受けていないものの外装工事を終えている国も一定数あり、開幕までにほぼ全ての建物が完成する見通し》とあるが、不安は収まりそうもない。
「ほかにも心配はあります。展示品の展示が間に合うのかという問題です。最悪、『パビリオンの外観だけを見る』ということにもなりかねません。実際、なにを展示するか明らかにしていない国もあると聞いています」(同)
こうした状況に、ある大阪市民は「誰が入場料5000円も6000円も払って建物だけ見に行きますかね。しかも、ラーメン一杯2000円なんて言われてますからね」と苦笑する。
前売り券の販売枚数も、3月5日時点でおよそ806万枚。目標1400万枚の達成は困難な状況だ。
スタッフの人件費、会場警備費などの運営費1160億円は、およそ9割を入場料収入でまかなう予定だが、目標販売数の8割に達しなければ赤字だという。
会場建設費は国、大阪府・市、経済界の3者が3分の1ずつ負担するが、これらも含めて赤字となったときの「補填」については決まっていない。まさに「見切り発車」が続いている。
万博のファミリー向けキャッチコピーは「かわいい子には、未来を見せよう。」だが、そもそも見せるべき “未来” の準備が間に合うのかどうか……。