
3月14日の参院予算委員会で「10万円商品券」問題の追及を受け、疲れた表情を見せる石破茂首相(写真・長谷川 新)
石破茂首相に「政治とカネの疑惑」が浮上した。
「石破首相は3月3日の夜、2024年10月の衆院選で初当選した新人議員15人を公邸に招いて、会食をしました。首相は自分の新人議員時代のエピソードを披露して、大いに盛り上がったそうです。政策話が好きな首相ですから、懸案の政策についても解説をしたと聞いています」(政治担当記者)
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一般の会社でいえば、社長と新入社員の「懇親会」といった趣きだが、違っていたのは、石破首相サイドから新人議員に対し、「10万円の商品券」が手渡されたことである。
「商品券は、同じ日の昼に、石破首相の秘書が各議員の事務所に行き、手渡ししていたそうです。この問題が明るみに出た3月13日、石破首相は23時すぎという時間にもかかわらず、官邸で緊急会見をおこないました。少々、お酒が入っていたそうで、頬は赤かったですね」(同前)
石破首相は商品券について「お土産代わりに、ご家族へのねぎらいなどの観点から、私自身の私費・ポケットマネーで用意をした」「法律に抵触するものではない。政治活動に関する寄付でもない。政治資金規正法上の問題はない」と説明した。そのうえで、「大勢のみなさま方にご心配をおかけした」と陳謝したのだが……。
「最初は冷静に話していた首相ですが、記者から『政治資金規正法に抵触するのではないか』と問われると、報道で印象操作されることを心配したのか『第何条のどの条文ですか?』『その(条文の)どこの部分ですか?』『どこが政治活動というふうにおっしゃっておられますか?』と、厳しい表情で記者をにらみながら、何度も逆質問していました」(官邸担当記者)
これには、自民党議員からも「正当性を強調したかったのだろうが、あの態度ではまったくの逆効果」と批判があがっている。
それにしてもなぜ、石破首相は商品券を配ったのか。政治アナリストの伊藤惇夫氏も「一報を聞き、あ然としました」と驚きを隠さない。
「石破首相は党内基盤が弱いため、『せめて応援団になってほしい』という気持ちがあったのかどうか……。それにしても、国会では企業団体献金について、引き続き議論されている最中です。政治とカネのことで“油断”があれば、野党からたたかれるのは分かりきった状況ですから、(商品券を配ったことは)理解できないですね。『もし配ったことが表面化したら』という想像力が、決定的に欠落していたのだと思います。国民感覚に照らしても『10万円のお土産』は理解されません」
今国会の会期末は、6月23日だ。
「国会開会中に自民党総裁選をおこなうのは難しいでしょうから、“石破おろし”につながるかは微妙なところですが、国民が抱く『石破首相はカネに真正面から向き合う』というイメージは崩壊したのではないでしょうか」(伊藤氏)
2024年8月、石破首相は自民党総裁選の出馬表明で「いわゆる裏金事件の審判は、国民からいただかなければならない。自民党として、国民に対して責任を持たなければならない」と厳しい表情で語っていた。来たる参院選では、どんな審判が下されるのか。