社会・政治
「103万円の壁」撤廃阻止した “ラスボス” 宮澤洋一氏の次男が公認候補から落選も…目指すは「2028年参院選」の茶番

鈴木俊一財務大臣(当時、写真下)と話す宮澤洋一氏(写真:つのだよしお/アフロ)
自民党の広島県連は、3月21日、次期総選挙で広島5区の公認候補予定者となる支部長を公募した結果、尾道市の弁護士・今井健仁氏を選んだと発表した。
今井氏は京都市の出身。都内にある法律事務所の代表として勤務したあと、2024年8月に選挙区内の尾道市に転居。今回の公募に応募していた。
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公募があった広島5区は、中選挙区時代の旧広島3区に含まれ、長く宮澤喜一元首相の選挙区でもあった。それもあって、今回、喜一氏の甥にあたる参院議員・宮澤洋一氏の次男・二郎氏も応募していた。
二郎氏が国会議員になれば、参院議員・宮澤裕氏から数え、4世議員になる。だが、支部長に落選した理由は “世襲” ではなく、もっぱら実父・洋一氏にあると噂されている。
地元テレビ局の政治部記者が解説する。
「党税調会長の洋一氏は、国民民主党が求める『103万円の壁』撤廃による『手取りを増やす政策』の前に立ちはだかる、いわゆる “ラスボス” 的な存在として、SNSなどで大きな批判を浴びています。『#宮澤洋一を落選させよう』といったハッシュタグも広まっているほどです。
公募には6人が応募して、書類選考などで4人が最終選考に残り、県連所属議員による投票の結果、1回めの投票では二郎氏がトップだったそうです。しかし、過半数に届かず、決選投票をした結果、今井氏に決まりました。やはり、時期が悪かったということでしょう」
参院議員の任期を4年残している宮澤氏の在任中に次期総選挙がおこなわれるので、もし二郎氏が当選すれば、家族内に現職議員が2人出ることもマイナス要因だったとされる。
とはいえ、岸田文雄前首相も含め、政界や官界に多くの人材を輩出した宮澤家の公募落ちが “大事件” なのは間違いない(岸田氏の叔母の義兄が宮澤喜一氏)。
ただ、広島県の野党関係者は、「(宮澤)洋一さんが、もし次の改選で立候補せず、引退して次男が後継になるなら、今回の決定は茶番だったということです。洋一さんは現在74歳ですから。ただの “ガス抜き” ですよ」と語る。
「そもそも、5区の現職は立憲民主党の佐藤公治氏で、自民党議員として旧広島3区で9期も務めた佐藤守良氏の次男です。守良氏の地盤が現5区の尾道市ですから、公治氏は非常に強い現職です。
じつは旧3区で宮澤さんの地盤だったのは福山市で現6区なんです。ここは自民党現職の小林史明氏が、いま鉄板状態。宮澤氏が福山を地盤としたのは、地元名門企業の強力な支援があったからで、その企業も代替わりして拠点は東京です。
つまり、今回5区で支部長に決まっても、当選は厳しい状態でした。今井氏は、言葉は悪いが鉄砲玉みたいなものです。宮澤さんの目標は、あくまで2028年の参院選広島選挙区。今回の公募は、銀行員で東京育ちの二郎さんの、地元への顔見せだったのではないかと思いますね」(同)
次なる選挙の駆け引きは、もう始まっている――。