社会・政治
27歳社長の素顔から黒幕まで「消えた仮想通貨580億円」5つの謎
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2018.02.06 11:00 最終更新日:2018.02.06 11:00
約580億円分の「NEM」流出から約10日。仮想通貨全体の時価総額は、過去最大の約92兆円から、1カ月半で46兆円余りに。怪しいけど、なんだか気になる仮想通貨市場。その最前線をレポートする!
【謎1】27歳若社長はどんな人?
「2016年ごろには、すでに同世代より稼いでいました。でも『今夜はご褒美飯』と言って、嬉しそうにチェーン店のしゃぶしゃぶを頰張っていました」
こう話すのは、コインチェック株式会社(以下C社)・和田晃一良社長(27)の、東京工業大学在学時の友人だ。和田氏は、埼玉県入間市出身。中学時代はバドミントン部に所属していた。
「早朝練習で、熱心に後輩を指導していたのを覚えています」(地元住民)
進んだ県内の私立高校でもバドミントン部に。和田氏のフェイスブックに投稿されている後輩からの寄せ書きには「先輩にはよくなぐられましたね」とある。熱心になりすぎて、まわりが見えなくなることがあったようだ。
【謎2】若社長に「黒幕」はいるのか?
事件発覚以降、和田氏と右腕の大塚雄介取締役(37)ばかりが表に出ている。だがC社の意思決定には、監査役のS氏が深く関与しており、ハッキングを受けた原因には、S氏の打ち出した方針があるという。
「S氏は、投資先2社を上場させた手腕で知られる33歳の敏腕投資家。大々的なCM戦略や、取り扱い銘柄を増やすなどの方針を決めたのは、S氏だ。セキュリティへの設備投資は、結果としてなおざりになってしまった」(金融関係者)
本誌は、S氏に質問状を送ったが、締切りまでに回答はなかった。
【謎3】どれほどお金を持っているのか?
流出した仮想通貨の保有者26万人全員に計約463億円を自己資金で補償すると発表したC社。なぜ、そんなに資金があるのだろうか。
取引所は、仮想通貨を仕入れて、利益を上乗せして販売。差益を手数料として顧客から得る。ITジャーナリストの井上トシユキ氏は、「他社の手数料が2%以内なのに比べ、C社は割高だった。大塚取締役は過去に、『月間取引高4兆円』と豪語していた。その額で推定すると、月に1000億円近い手数料があったはずだ」と言う。だが、問題がある。
「C社は、自社で運用する仮想通貨の売買と、顧客から預かった売買の勘定が、一括で管理されている。つまり自分たちのお金と顧客のお金を厳密に分けられない杜撰な会計。金融庁はそこを問題視している」(金融庁担当記者)
【謎4】盗んだ犯人はどこにいる?
2017年12月に経営破綻した韓国の取引所・ユービットへのハッキングには、北朝鮮が関与したと報じられた。
「今回の全体像はまだわかりません。ですが、最近多数発生している取引所を狙った攻撃の8割が、中国、または北朝鮮が発信地です。ロシア、スペイン、台湾などの中継地を経由して仕掛けられています。そのため、アクセス先を突き止められても、日本の捜査機関が具体的な人物や場所を特定することは困難です」(投資家のやまもといちろう氏)
【謎5】被害者にお金は返ってくる?
はたして被害者は、C社からお金を取り返すことができるのか。
「金融庁は、透明性の高い法的整理を求めている。C社は取引所登録がなく、申請中のみなし業者。こうなっては、認可は絶望的で、3月以降の廃業は不可避だ」(前出・金融庁担当記者)
被害額を取り返せる日は、まだ遠い。
(週刊FLASH 2018年2月20日号)