社会・政治
【女子高生クローゼット遺体】「豆柴を飼いたい」江口容疑者の「陰キャ」な素顔…小学生のころには“水筒殴打事件”も

中学校時代の江口容疑者(左)と送検された江口容疑者(写真・共同通信)
3月31日、閑静な住宅街が広がる愛知県一宮市木曽川町は騒然としていた。16歳の女子高生・加藤和華さんが無惨に刺殺され、遺体は容疑者の自宅クローゼットのなかに隠されていたのだ。逮捕されたのは、21歳の無職・江口真先容疑者。殺害現場は両親と同居する自宅であり、いったい何が起きたのかーー。
「被害者の加藤さんは、東京都・葛飾区で暮らしていました。彼女は3月28日、『ゲームで知り合った友人に会いに行ってくる』と母親に伝えて、東京駅から新幹線に乗り江口容疑者に会いました。容疑者とはオンラインゲーム『フォートナイト』を通じて知り合ったようです。『フォートナイト』は、大谷翔平選手のアバターが発売されるなどして、近年話題のオンライン対戦ゲーム。基本プレイが無料であることから、未成年も多くプレイしています。
29日の午後に連絡が取れなくなったことを心配した母親が、行方不明届を出し加藤さんの携帯電話の位置情報を調べたことで江口容疑者の自宅が浮上。31日の23時ごろ、警視庁から安否確認の依頼を受けた愛知県警が容疑者宅を確認したところ、クローゼットの中に毛布で包まれた和華さんの遺体を発見しました。江口容疑者はその場で死体遺棄の疑いで緊急逮捕されました。和華さんの死因は首や肩を多数刺されたことによる出血性ショックで、江口容疑者は容疑を認めており、『ゲームのことで口論になった』と供述しています」(事件担当記者)
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春休みを満喫するはずだった女子高生の身に起きた悲劇。“オンライン”上で知り合ったという江口容疑者とはどんな人物なのだろうか。
事件が起きた一軒家は、木曽川と山が近いのどかな場所に建つ。車庫には自転車2台と原付バイク1台が停められており、遺体が発見された2階はカーテンが閉められ静まり返っている。近隣住民が逮捕時の状況を説明する。
「31日の夜、あたりが騒然としているから外を見るとパトカー5台と鑑識車が2台あって、まさか殺人でも起きたんじゃないだろうなと思っていたら、翌日の4月1日に報道を見て、もう本当にびっくりですよ。朝から晩まで警察の方がいて、規制線が張られて自宅前の道は封鎖されていましたよ。このあたりは長年住んでいる人や、小中学生の子を持つ家庭が多くて治安が良かったんですけどね」
他の近隣住民は、普段から原付バイクを乗り回す江口容疑者の姿を見ていた。
「20〜21時ごろに原付で帰ってくる姿をよく見ていました。その時は仕事帰りだろうなと思っていたので、報道で無職と知ってびっくりしました」
子どもが江口容疑者と面識があるという近隣住民は、最近も愛犬をかわいがる江口容疑者の姿を見たという。
「真先くんを最後に見たのは事件の1週間前だったかな。毎日のように愛犬の豆柴の散歩をしているからよく見かけていたんです。時間は朝や昼、夕方の時もあるしバラバラですよ。スウェットなどラフな服装でいつも歩いていました。
真先くんには、兄と妹がいるはずなんですが、ほとんど見かけたことはありませんよ。豆柴は、4〜5年ほど前に彼が両親に頼み込んで飼い始めたらしい。そのときに両親が提示した条件が『飼ってもいいけど、散歩は自分で行くこと』。真先くんは約束通り毎日散歩に行っていました。
真先くんのお父さんは工事現場で働く職人で、40代半ば。見た目は少しイカつい感じでした。足場に使う機材を積んだトラックが自宅の前によく止まっていました。お母さんとはお話ししたことがないけど、ごく普通の女性のイメージです。私の子どもとも、小学生くらいのときは家の前で遊んでいたけど、トラブルなどもなく、家族仲も普通だったと思います」
江口容疑者は一宮市で生まれ育つと、徒歩15分のところにある公立小学校に通い、その後、一宮市立の中学校に進学した。中学校の同級生が彼の学校生活についてこう語る。
「基本的にはあまり話さない子で、タイプで分けるとしたらいわゆる“陰キャ”でした。ただ、イジメられていた様子もなく、いつも仲良しの2人と一緒に3人組で行動していました。肥満体型だったので、マスコットキャラクターのような立ち位置でしたね。休み時間も仲良しの特定の友人たちと話していました。
勉強面でいうと、テストの点はあまりよくなく、運動も苦手そうでした。女性関係の話はまったく聞いたことがないですね。少なくとも中学時代は彼女はいなかったと思います。部活動は男性11名、女性1名の『工作部』に所属していて、モノづくりをしていましたよ。
最後に会ったのは、中学3年生の終わりごろ、近くのショッピングモールのゲームセンターで『ドラゴンボール』のバトル系のゲームをひとりでしていたので声をかけました。彼の好きなものはドラゴンボールとゲーム。とくに銃を使うバトルロワイヤルを好み、オンラインで対戦していましたよ。フォートナイトは中学3年生ごろからよくやっていて、オンラインで複数人プレイをしていたみたいです」(江口容疑者の同級生)
ゲーム好きな内気な少年は、高校に進学することはなかった。だが、“引きこもり”というわけではなかったという。
「別の同級生には『庭師』として1年くらい働いていたと聞きましたよ。つい最近まで、スーパーの鮮魚コーナーでアルバイトをしていたみたいです。暴力的なイメージがまったくないので、今回の事件を聞いて本当にショックです」(同前)
別の同級生は、江口容疑者が“被害者”になった事件を知っているという。
「江口くんはいじめられていたわけではないけど、小学校のころにヤンチャな男の子に水筒で殴られる騒動がありました。そのときは男の子が自宅まで家族と謝りにいったそうです。やり返すとかそういうのはしないタイプでした。
小学校の卒業文集では『運動会』について書いていました。ぽっちゃりしていて小柄ではないので、6年生がおこなう組体操のピラミッドでは1番下。おじいちゃんと両親が見にきてお弁当を食べたのが美味しかったとつづっています。家族仲が悪いわけでもないし、暴れていた印象もない。何があったのか本当にわかりません」
事件現場から徒歩数分のところでは見頃を迎えた桜の花びらが舞っており、新社会人の入社式がおこなわれていた。春に進級を控えた加藤さんの未来を奪った江口容疑者の罪はあまりに重いーー。