
3月10日、「総理大臣にする会」の会場から出てきた玉木雄一郎氏(写真・長谷川 新)
国民民主党の千葉県連で起きたパワハラ問題。党本部は対策チームをつくり、聞き取りを進めると発表したが、遅々として進んでいないようだ。
「そもそもの発端は、2024年6月に起きた離党騒動です。同党所属だった千葉県浦安市議の工藤由紀子氏が、党の国会議員と県連幹部からパワハラを受けたと主張したことです。
パワハラにより体調を崩し、適応障害の診断を受けたことで、離党届を提出したことで話題となりました。この問題では、工藤市議への県連の対応に嫌気がさした県議や市議ら、ほか3人も離党しています。
【関連記事:国民・玉木代表、“パワハラ被害”訴えた市議に「なんとかならんのかなあ」の“翻意”提案疑惑の背景】
パワハラの疑いがかけられているのは、先の総選挙で千葉5区から立候補して落選、比例復活した岡野純子衆院議員と、県連幹事長の天野行雄千葉県議です。
結婚を機に浦安市に転居して市議になった岡野議員が、同地で “ママ友” になったのが工藤氏。岡野議員が国政に挑戦するにあたり、市議の実質的な後継者として、政治には素人である工藤氏に白羽の矢が立ったのです。
勉強しながら市議になり、先の総選挙では岡野議員の選対事務局長を務めたものの、岡野議員が工藤市議をあまりに厳しく指導したことで “友情” は崩壊、体調不良になったといわれています。
さらに、天野県議が連日のように支持団体からの応援を入れたため、その調整でもたいへん苦労したそうです」(国民民主党関係者)
それから10カ月たち、党本部はようやく重い腰をあげ、ハラスメント対策委員会・倫理委員会合同チームを設置した。しかし、肝心の工藤市議へのヒヤリングは延期されたという。
「工藤市議へのヒヤリングは4月14日に予定されていました。ところが、開始時間が遅いうえ、1時間程度しか予定が組まれていないこともあり、工藤さんが顧問弁護士の助言を受けて延期の申し出をしたそうです。
日程調整がつかないという理由で、4月中のヒヤリングはなくなったそうです。離党した他の3人へは、ヒヤリングの通知すらまだのようですね。
あまりに対応が遅すぎるという声は党内でも複数出ていますよ。離党した地方議員の一人は、玉木雄一郎代表に千葉県連幹部によるパワハラの実態をラインなどで伝えていました。しかし、玉木代表は何の手を打つこともなく、ここまできたわけですからね」(同)
玉木代表は、4月8日の会見でも、記者から千葉県連の内情を知っていたのではないかと突っ込まれたものの、「弁護士も入れ、調査、ヒヤリングをおこなっている最中だ。結果が出るまでは予断を与えるので、コメントは控えたい」と話している。
もちろん、パワハラ告発を受けている岡野議員と県連幹部へのヒヤリングを始めている可能性はあるが、そもそも被害を受けた側から先に事情を聴くのが合理的なのは言うまでもない。なぜ、玉木代表や党本部は、パワハラ問題に対する姿勢が消極的なのか。背景には支持労組との蜜月関係があるという。
「岡野議員からのパワハラについて、工藤さんは『無視したり、街宣したときにマイクを直接渡さなかったりといった意地悪のたぐい』と親しい議員に話しています。
もちろんそれもパワハラですが、工藤さんを苦しめたのは、支援団体との度重なる会合や、その後の懇親会が大きな負担になったことだと聞いています。世間一般ではパワハラやセクハラになるような行為が常態化していたそうです。
工藤さんにも至らないところはあったはずですが、そこはもっと寄り添って指導するべきでした」(千葉県連関係者)
早急に調査すべき事案なのは間違いない。