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【独自】「日常茶飯事ですよ」医療メーカー営業マンが医師法違反疑いも現役オペ看が明かす“素人が手術に参加”の実態

問題となっているニューベイシブジャパン(写真・共同通信)
4月18日、米国系医療機器メーカーの営業担当者らが手術に立ち会い、大学病院を含む5つの医療機関にて、無資格でX線装置を操作するなどの医療行為をおこなっていたことが朝日新聞に報じられ、物議を醸している。
「記事には『ニューベイシブジャパン』という米企業の日本法人の営業マンが医療機器を操作する様子の写真も掲載されていました。同社は、診療放射線法違反を認めており、厚生労働省も、医師法に違反する疑いがあるとみています」(全国紙記者)
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ネット上では外部者による医療行為に対し驚きと不安の声が噴出しているが、「日常茶飯事ですよ」と医療現場の実態を語るのは、現役の20代女性オペ看護師だ。
「同社は医療機器メーカーのなかでも大手企業で、変形した骨を矯正したり、固定するために使用するインプラントを販売しています。手術現場ではよく使用されていますよ。
インプラントを入れるための手術はさまざまな専門器具を使うのですが、メーカーによって使用方法が異なっており、医者もすべて記憶しているわけではありません。
そこで、医療メーカーの担当者は手術の際に立ち会い、器具の説明をするわけです。インプラントを使用する手術は毎回といっていいほど参加していますね。器具に関することはメーカー担当者の方が詳しいということです。
ただし、器具を袋から取り出す行為は医療行為となりますので、通常は袋ごと看護師に手渡します。しかし、実際には看護師の手が空いてないことも多く、担当者が“袋を開けておく”というのはよくあることですよ」
朝日新聞は、同社の社員らが他社製品であるX線装置を操作し、なんと患者に対するX線の照射までなんの資格もなくおこなっていたと報じている。
「今回問題視されたX線装置は『Cアーム』と呼ばれるものですね。手術中にレントゲンを撮る機械で、骨折など、おもに整形外科の手術で使用される機械です。手術室に入る者は全員放射線防護衣を身につけて入室する決まりがあり、このX線装置は、医師か放射線技師しか操作できないことになっています。
しかし、わたしの働いている大学病院では、放射線技師は通常のレントゲン撮影などに追われているため手術に参加することは滅多にありません。
看護師かメーカー担当者がボタンを押すなどの操作をすることは本当に多いので、今回の報道をみて驚くことはなかったですね。みなさんが思っているよりも“素人”が手術に参加しているケースは多いということです。むしろ問題になるんだ、とそちらにびっくりしました」
また、別の関西地方で働く30代のオペ看護師はこう嘆いた。
「この事案の根本的な問題は、放射線技師不足でしょうね。個人病院では、オペ室で手術をおこなう日が限られているので、放射線技師をひとり雇っておけばいいのですが、大学病院の場合はオペ数が多く、それぞれの手術ごとに放射線技師を用意することがほぼできません。当然、医師だけではすべてに手が回らない。いずれにせよ、診療放射線法違反が医療現場で横行しているのは事実です。今後どれだけ放射線技師の確保ができるかが重要になると思います」
それにしたって、“素人”に治療されるのだけはごめん被りたいものだ。