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もしトランプ大統領が日本の首相だったら? 「消費税は5%に引き下げ」「備蓄米は即日放出」「万博でプロレスを」専門家がシミュレート!

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記事投稿日:2025.05.05 06:00 最終更新日:2025.05.05 06:00
出典元: 週刊FLASH 2025年5月13日・5月20日合併号
著者: 『FLASH』編集部
もしトランプ大統領が日本の首相だったら? 「消費税は5%に引き下げ」「備蓄米は即日放出」「万博でプロレスを」専門家がシミュレート!

“とらんぷ首相” なら消費税撤廃……はともかく、引き下げについては専門家も一致(イラスト・まるはま、写真・共同通信)

 

「私が彼に去ってほしいと望めば、すぐに去る」

 

 4月23日(日本時間)、トランプ米大統領は、金融政策をめぐり対立するFRB(連邦準備制度理事会)のパウエル議長の解任を否定した。かつて冒頭のように豪語し、世界経済を混乱させたトランプ大統領。その手のひら返しにも、世界が翻弄された。

 

 またトランプ大統領は、議会を通さず「オレの命令だ!」とばかりに大統領令を連発してきた。日本でも、そんな“メチャクチャ”ができるのか。

 

 

 そこで評論家の宮崎哲弥氏、政治評論家の有馬晴海氏、第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣氏、落語家の立川雲水氏に「日本に“とらんぷ首相”が就任したら、こう采配する」とシミュレートしてもらった。各氏のトランプ評はいかなるものか。

 

「『私のひとことで世のなかがひっくり返る。世界各国がディールを申し込んでくる』という考えを危惧する」(有馬氏)

 

「1次政権では共和党内に抵抗勢力がいたが、いまはいない。そのため、独裁的に振る舞える」(宮崎氏)

 

「米国民も『アメリカを豊かにする』という話とは違うことに気づくはず」(永濱氏)

 

「政治家としての思想信条や理念を備えていない、いばりたいだけの『いばりんぼ爺さん』」(立川氏)

 

 と、みな、厳しい評価を下しているが……。“とらんぷ首相”なら、日本の難題はたちまち解決、もしくはさらなる泥沼に!?

 

■消費税減税/消費税率を5%に引き下げ!

 

 物価高を受けて、野党などから出ている消費税減税案。石破茂首相は「財源として重要だ」と、国民の理解を求めているが、トランプ氏なら?

 

【宮崎哲弥氏がシミュレート】

 

 トランプ大統領はアメリカの対日貿易赤字の原因のひとつとして、日本の消費税をあげています。消費税が関税同様、日本人の購買意欲を阻害しているというわけです。たしかに、日本の対米貿易黒字は増えています。“とらんぷ首相”なら、これを縮小するために、日本国内の消費や投資を喚起しようとするでしょう。内需振興策を図るのです。

 

 その方途のひとつとして、消費税の大幅減税を実施します。参院選を控えて、政治家たちは食料品の軽減税率を下げることを目論んでいるようですが、“とらんぷ首相”ならば、大胆に標準税率そのものを5%に引き下げるでしょう。

 

【永濱利廣氏がシミュレート】

 

 トランプ大統領は減税を訴えています。日本でも、たとえば食品に限って消費税を引き下げる可能性は十分にあります。

 

 また、アメリカはインフレに応じて課税最低限や所得税率を変えています。日本でも、インフレ時に基礎控除がさらに拡充される可能性もあるでしょう。

 

 日本では現金給付が議論されていますが、多くの国では、生活苦への対応として減税を採用しています。費用対効果は減税のほうがいいのです。

 

【立川雲水氏がシミュレート】

 

 今回、相互関税発動を90日間、延期させた顛末からも明らかですが、トランプ自身には知恵も信念もないとみており、税に関する施策も、その時点でトランプのブレーンに就いている者次第だと思います。

 

 しかしスタッフであれ腹心であれ、ときどきの風向きや利益の多寡によってあっさり決別するので、消費税についても、方針も運用もブレブレのグラグラになるんじゃないでしょうか。

 

■令和の米騒動/「備蓄米、すぐに全部出せ!」

 

 5kgの平均価格は15週連続で値上がりし、いまや4200円を超えるが――。

 

【有馬晴海氏がシミュレート】

 

 放出すると決めたのは2月中旬なのに、ようやく3月下旬に店頭に並ぶという遅さです。どうして政府が持っているものを放出するだけで、そんなにかかるのか。しかもチョロチョロと小出しにするから、価格は一向に安くなりません。“とらんぷ首相”だったら間違いなく「今日からやれ」「全部出せ」と言うでしょう。そして、廃業したり後継者がいなかったりする農家から土地を借りまくって、農業の大規模化を図り、効率重視の農業に転換。廃業した農家のみなさんには、全国の空き家を活用して新しい住居を用意する――くらいのことはすると思います。

 

■外交・在日米軍/自衛隊の基地をアメリカにも!

 

 トランプ大統領は、「アメリカは日本を守るために、何千億ドルも負担している。日本は何も支払わない」と述べ、今後、負担増を求めてくるとされる。“とらんぷ首相”はどう迎え撃つ?

 

【宮崎哲弥氏がシミュレート】

 

 かりに台湾有事が起こっても、トランプ政権下で米中戦争に突入するとは思えません。トランプ大統領は「自国が戦争に巻き込まれること」をもっとも嫌っていますから。

 

 米中間の全面戦争になれば、世界経済は間違いなく崩壊の危機に直面します。戦争を起こしてしまったら、もう負けなのです。

 

“とらんぷ首相”だったら、とにかく台湾の武力統合は絶対に許さないという姿勢を断固として示して、有事となった場合のリアルな対応を準備する。たとえば最大級の経済制裁を計画したり、米軍と自衛隊との軍事的連携の詳細を詰めたりするなどして、これを可能な限り発表することが重要です。その一方で、台湾問題の平和的解決こそが、日米中の最大の利益になることを強調する。

 

 こうして硬軟両様の策を動員して、侵攻をなんとしても抑止し、ひいては事実上の断念に導くのが肝要でしょう。

 

【有馬晴海氏がシミュレート】

 

 トランプ大統領の「日本は駐留費用を払わない」という発言は誤りで、日本は在日米軍に年約2000億円もの「思いやり予算」を出しています。“とらんぷ首相”は、まずその支出をやめるでしょう。さらには「日本に米軍基地を置くなら、自衛隊もアメリカに基地を置く」「日本に基地を置きたいなら、アメリカが予算を組んで、相当の対価を日本政府に払え」と言うかもしれませんね。

 

【立川雲水氏がシミュレート】

 

“とらんぷ政権”は、ロシアや中国にとっては、強烈な抑止力になるはずです。中国は自ら台湾に向けて軍事力行使をちらつかせたりはしなくなるでしょう。

 

 それに、まったくの無能やデタラメな者が日本のトップに就いているなら、その者を泳がせつづけたほうが、やがて勝手に転んで自滅するのが目に見えていますからね。

 

■選択的夫婦別姓/「戸籍制度? 廃止だ!」

 

 結婚後、それまでの姓を名乗ることも、配偶者の姓に変えることも選べるようにしよう――。「多様性」や、女性の働き方の観点からそう望む声に対し、反対意見も根強い。

 

【宮崎哲弥氏がシミュレート】

 

“とらんぷ首相”がこの問題をラディカルに解決することを目指すなら、いっそ戸籍制度の廃止に踏み切るでしょうね。橋下徹さんなんかがすでに提案されています。

 

 国民の身分管理ならば、マイナンバーを拡張するだけで十分に可能ですから。

 

【立川雲水氏がシミュレート】

 

“とらんぷ首相”は案外、「選択的夫婦別姓」を率先して導入する気がします。不法移民を厳格に取り締まる方策からしてもわかるとおり、“分断上等”ですから、日本の首相になっても「夫婦別姓が認められると伝統的な家族が崩壊する」的な言い分は、“とらんぷ首相”の前では、意味をなさないと思うんです。むしろ「そりゃ好都合だ!」と思う人ですよ。

 

■経済政策/「日銀は利下げだ」の圧力

 

 バブルが崩壊して以降、歴代政権が悩まされてきた「失われた30年」。賃金の伸び悩み、投資の停滞が続いた。

 

【宮崎哲弥氏がシミュレート】

 

 トランプ大統領は「貿易赤字は損失だ」という認識ですが、完全な誤り。“赤字”という文字面にとらわれています。

 

 貿易赤字はアメリカの消費がたいへん活発で、景気がいいことの表われなのです。

 

「貿易黒字が得」というのも間違いで、日本の1990年代から2000年代半ばまでの経済状況をみれば明らかですが、景気が悪くなる、つまり実質GDPが減ると、貿易黒字は増えています。本国・トランプ政権は日本の消費税を「非関税障壁」とみなしています。《消費税減税》の項目で述べたように、日本の“とらんぷ政権”は消費税を減税し、金融緩和策によって金利の急騰を防ぎ、とにかく内需を、とくに日本国内の消費を喚起するでしょう。

 

 消費税を大幅減税すれば、アメリカは日本がやっと貿易黒字を縮小する方向に動いたと、歓迎するはずです。日本としては、消費活動の停滞が最大の弱点だったので、これを一挙に解消し、かつアメリカの意に沿うこともできるという、まさに一石二鳥の策です。

 

【永濱利廣氏がシミュレート】

 

 トランプ大統領がいま、アメリカでやろうとしている製造業の国内回帰や金融緩和は、アメリカ経済には合いませんが、じつは日本の経済を強くする政策になります。日本には「経済の長期停滞」という課題があります。日本の緊縮財政的考え方を世界標準に変えて、「必要なところにはカネを出して、不要なところには絞る」という、メリハリが利いた財政出動をしなければなりません。日銀は現在、緩やかに利上げを進めていくスタンスですが、“とらんぷ首相”は日銀に「ただちに利下げしろ」と圧力をかけるでしょう。輸出を考えれば、自国通貨は安いほうがいいからです。

 

■万博/大屋根リングの上でプロレスを

 

 4月13日に開幕したものの、高額な入場券や食事、「ない」とされていた行列に不満の声が多数。どうすればいいのか!?

 

【立川雲水氏がシミュレート】

 

 不人気が心配されている万博ですが、“とらんぷ首相”はプロレスの興行に登場していた過去を思い出して、大屋根リングの内側に四角いリングをこしらえて、レスラーとして特別イベントに出場するパフォーマンスでもやれば、ある程度は客寄せになるかもしれません。

 

 対戦相手として石川県知事の馳浩先生がいます。元参議院議員の大仁田厚先生はやめたほうがいいですね。なんせ電流爆破マッチは、ガス発生が心配されるあの会場じゃ、危なくて仕方ありませんから。決めゼリフの「Fired!(クビだ!)」も禁句です。

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