
今年4月30日、神奈川県川崎市で20歳の女性が元交際相手の自宅で遺体となって見つかった事件。5月5日放送の『情報ライブ ミヤネ屋』(日本テレビ系)では、同事件をめぐり元警視庁刑事・吉川祐ニ氏がコメント。その発言が「警察擁護ではないか」と、波紋を広げている。
死体遺棄容疑で逮捕された白井秀征容疑者は容疑を認めており、別れた後も複数回女性に接触していたという。
これに対し、遺族は「娘がストーカー被害にあっていると警察に相談していた」と説明する一方、警察は「そのような相談は受けていない」と否定。女性本人も警察に9回電話をしていたが、訴えは届かず、白骨化した遺体で発見された。
【関連記事:「情けない」「茶化す気にもならん」神奈川県警巡査長「700万円だまし取り」で逮捕! 特殊詐欺対策強化中の不祥事にあきれる声続出】
「吉川氏はこの痛ましい事件に対し、『警察としてもしっかりおこなわなければならない』とし、『被害者が来署をためらう場合は警察が出向くべき』と持論を展開。『ストーカー被害と認識しなかったのは、神奈川県警にとってよくない』など、警察の対応に苦言を呈していたのですが、問題はこの後です。
吉川氏に対し、司会の宮根誠司が『ストーカーの相談をすると、(加害者に)逆恨みされて自分だけではなく家族も怖い目にあうんじゃないか』と懸念を示したうえで、相談をためらう人へのアドバイスを求めました。
すると同氏は、『私のところにも「仕返しが怖い」という相談が来るが、仕返しはまずほとんどないと言っていいと思います』と断言。『仕返しがある恐れがあるときには、必ず警察が安全を守りますので、あまり気にせず、警察に相談してほしい』と進言したのです」(スポーツ紙記者)
だが、この発言にはX上で異論が噴出。
《ストーカーの恐ろしさを、まるで理解していなくて、ヤバ過ぎだろ》
《現にこうして警察が守ってくれなくて殺されてるのに あんた何言ってんだよ!》
《万が一仕返しがありそうでも警察が守るとか全部嘘やん》
こうした声に対し、全国紙の社会部記者はこう指摘する。
「吉川氏は、とにかく警察に相談してほしい、というメッセージを伝えたかったのかもしれませんが、うまく伝わっている印象がありませんね。
警察の発表によると、ストーカー行為等に関わる相談件数は、毎年2万件前後寄せられている一方、2023年にストーカー規制法違反で検挙されたのは1081件です。
しかし、これはあくまで警察に相談したことで表面化した件数であって、実際に発生しているストーカートラブルはもっと多いでしょう。吉川氏の経験どおり、実際に “仕返し” にまで発展するケースはごくまれかもしれませんが、それでも恐ろしいのは間違いない」
実際、2023年にはストーカー被害を受けていた女性が刺殺される事件が発生している。
「福岡市のJR博多駅前で、38歳の女性が元交際相手に刺殺されました。加害者にはすでに “つきまとい行為” の禁止命令が出されていたにもかかわらず、偶然女性を街で見かけて追いかけ、通報されそうになったことに逆上し、犯行に及んだのです。加害者には昨年、懲役20年の判決が確定しています。
こうした実例があることも考えれば、『ストーカーは逆恨みしない』と断言するのは、警察関係者の “身内びいき” と受け取られても仕方ありません。
逆恨みする可能性があるなかで、いかに警察や行政がストーカー被害者を守るのか、真剣に考えるべきでしょう。少なくとも、川崎市の遺体遺棄事件をめぐっては、警察の動きに不備はなかったのか、徹底的に検証されるべきです」(前出・全国紙社会部記者)
今回も、最悪の事態は防げなかった──。