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【2025年上半期ニュース現場は今】「岩手・大船渡市山林火災」倒木による土砂崩れ発生、住宅地には大量のシカ出現

「岩手・大船渡市山林火災」4月19日、飛び火の被害が出た石浜トンネル周辺の住宅地。焦げたような臭いが、まだ漂っていた(写真・保坂駱駝、2025年)
岩手・大船渡市で2月26日に発生した山火事は、延焼面積約3370haにおよび、平成以降で国内最大規模の山火事となった。4月7日に鎮火宣言が出された現地はどうなっているのか。
「私の家は幸い被害に遭わなかったので、3月10日に自宅に帰りました。近くの山林を見たらかなり焼け焦げており、被害の大きさを実感しました。
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近所では、空き家も含めて14軒が全焼してしまい、被災した方は5月17日以降に仮設住宅へ入るようです」
こう話してくれたのは被災時に大船渡市立越喜来(おきらい)小学校に避難していた60代男性だ。男性が話すように、被災地域では焼け落ちた家屋がそのまま放置されていた。
「被災した方は、公営住宅・建設型応急住宅・賃貸型応急住宅(みなし仮設)の3つのどれかの支援を受けることができます。公営住宅は12部屋に対して、21世帯の申し込みがありました。条件を満たした方は全員入居できる見込みです」(大船渡市役所担当者)
被災者の救済支援が進む一方で、深刻なのが火事で焼けた山林だ。幹が真っ黒に焦げた木が目立ち、倒木による土砂崩れも発生。エサを求めて山からシカの群れが現われるようになったという。
「どのくらい伐採するかを岩手県が現在調査中です。それをもとに、国で『森林災害復旧事業』の査定をおこないます。被害木の伐採はそれからになりますね。森林災害復旧事業の事業対象になる要件、『人工林の中で90ha以上被害を受けたもの』を満たしていることは間違いありません」(林野庁・森林利用課担当者)
山林火災の被害の全容は、いまだに掴めていない。
写真・保坂駱駝