社会・政治
【船橋・立てこもり事件】現場アパート住人が語った緊迫の“脱出劇”「警察からの電話で起こされました」

緊迫した事件現場(写真・梅基展央)
千葉県警は5月20日、監禁容疑で和田敢士(かんじ)容疑者を逮捕した。和田容疑者は20日未明、包丁を持って同じ住所に住む母親と妹を監禁、立てこもった。警察に通報したのは、和田容疑者の兄だった。
現場となったアパートは、近所の運送会社の所有で、従業員の寮として使われているもの。空いた部屋を一般に貸していたという。アパートは3階建てで、3階部分に5部屋、2階部分に2部屋がある。現場となった部屋は2階部分だった。
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アパートの前には畑が広がり、すぐ裏には、緑が広がる市民にとって憩いの場所である、船橋市運動公園が。同じアパートの住人は、和田一家のことをこう振り返った。
「私は8年前からここに住んでいます。運送会社に働いていて、寮として住んでいました。和田さん一家が引越してきたのは、いまから3、4年前のことです。ご丁寧にあいさつに来られました。ただ、それ以来、お会いしたことはありません。何人で住んでいらっしゃるのかも知りませんでした。ふだんから静かに暮らしていて、物音ひとつしませんでした。何かトラブルもありません」
そんな平穏な一家で、立てこもり事件が起きた。
「夜勤の仕事が終わって、明け方に帰宅して寝ていたんです。そうしたら、電話がすごく鳴って起こされて。船橋警察署からでした。『下の階で立てこもりが発生しているので、避難してください。貴重品を持って、部屋から出てください』と。さらに、サーモグラフィを置きたいので、部屋を貸してください』とのことでした。
さすがにびっくりしましたよ。どういうことなんだと思って外に出たら、警察官とマスコミが山ほどいて。灯油をまいたという情報もあったようですが、そういった臭いはしませんでした」
事実、現場には消防も数多く駆けつけていた。約7時間の立てこもりの末、和田容疑者は警察の説得に応じ「降参します」と言って、部屋から出てきたところを逮捕された。
近所の別の住人はこう話す。
「ここは畑も多いし、公園もあって、夜は真っ暗で静かなところです。コンビニ以外、行くところがないくらい。事件なんてないし、こんなところに報道陣が集まって、驚くばかりですよ。あの家族が住むアパートの近くはよく通りますが、声もしないし、静かなところでしたけどね」
捜査関係者は、和田容疑者について「素直に取り調べに応じているようです。感情の起伏もとくになく、淡々と話しています」と話した。
容疑者は、「リビングで音楽を聴いていたことを母親に注意され、怒りを覚えた」などと供述しているというが、怪我人が出なかったのは不幸中の幸いといえよう。