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小泉進次郎農水相「とにかくコメ」価格引き下げ必死アピール…実績作りで石破首相が狙う“参院選巻き返しプラン”

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記事投稿日:2025.05.22 20:48 最終更新日:2025.05.22 20:48
出典元: SmartFLASH
著者: 『FLASH』編集部
小泉進次郎農水相「とにかくコメ」価格引き下げ必死アピール…実績作りで石破首相が狙う“参院選巻き返しプラン”

小泉進次郎氏(左)を農水相に起用した石破茂首相

 

 5月21日、江藤拓氏に代わって、新たに農林水産相に就任した小泉進次郎衆院議員は、「コメ」の価格を安くできるのか――。

 

 自民党佐賀県連の政治資金パーティで「コメは買ったことはありません」などと発言した江藤氏は、当初、続投の見方もあった。しかし、あまりにも批判が強まったためか、石破茂首相は20日、江藤氏を事実上、更迭した。

 

 政治部デスクが言う。

 

 

「官邸が江藤氏の更迭へと方針転換したのは、20日午後の野党国対委員長会談後です。ここで、江藤氏への辞任要求と、続投の場合は野党が不信任案を出す方針で一致したことを受け、急に人選と“身体検査”を始めました。

 

 官邸側は小泉氏、斎藤健前経産相、金子恭之元総務相の3人を検討。小泉氏に決まった理由は、まず、彼が2024年秋まで、『SP』がつく党4役のひとつである選対委員長を務めており、身体検査を再度する必要がほとんどなかったことです。

 

 次に党農林部会長時代、農協改革などを掲げて改革に挑んだことなどを、石破首相が高く評価していたことがあげられます」

 

 小泉氏は2015年10月、自民党農林部会長に就任し、JA全農に対し、農薬や肥料といった販売部門のスリム化などを求め、JAグループの改革に取り組んだ経験がある。

 

 そうした背景から、20日の早い段階で、官邸は後任を小泉氏一本に絞り、自民党の森山裕幹事長に相談したという。

 

「森山氏は“農林族”のボス的な存在で、小泉氏が農協に厳しい態度を取ることも予想されたのですが、森山氏は『思い切りやってもらえばいい』と歓迎。『来週に予定していた備蓄米の入札をいったん中止し、随意契約のもとで価格を下げていきたい』といった“小泉案”をすんなり受け入れただけでなく、小泉氏に電話で就任を打診する役も買って出たといいます。農林族のボスも、今回は小泉氏の後ろ盾になり、小泉氏をバックアップする姿勢をみせています」(同前)

 

 とは言うものの、3月に政府が備蓄米の放出を始めて以降も、一向にコメの値段は下がっていない。

 

「スーパーなどの小売店での5kgのコメの値段は、4000円超は当たり前で、1年前と比べると2倍以上の高値が続いている状況です」(社会部記者)

 

 こうしたコメの高値が続くなか、21日午後、石破首相は野党との党首討論のなかで「新しい農水大臣のもとで必ずコメ(の価格)を下げるということをやっていく」「コメは(5kgあたり)3000円台でなければならない。4000円台ということがあってはならない」などと述べ、小泉氏に期待を寄せつつ、自らの決意を語った。

 

 小泉氏も新農水相に就任後、「私がやらなければいけないことは、とにかくコメだと。“コメ担当大臣”、そういった思いで集中して取り組んでいきたい」と気合いを入れた。

 

 自民党のベテラン秘書が言う。

 

「2021年の自民党総裁選では、岸田文雄前首相に対抗する勢力として、菅義偉(よしひで)元首相の後ろ盾のもとで結束したのが、小泉さん、石破さん、そして、河野太郎前デジタル相の『小石河連合』でした。

 

 石破さんは、いまでも小泉さんに対しては、自分には持ちえない、未知数ながらも何かしらの“突破力”があると感じている部分があります。それに賭けたい、という思いがあるのではないでしょうか」

 

 石破首相が小泉氏に期待する理由はほかにもあるという。それは、夏に実施される参院選対策だ。ベテラン秘書が続ける。

 

支持率回復の糸口がみつからない政権下で、石破さんとしては、小泉さんに参院選で広告塔になってほしいとの思いがあります。石破さんに近いある議員は『進次郎がコメ価格を一定程度、下げた実績を作れば、参院選でアピールポイントとなり、全国遊説でも強い武器となる』と話していました。

 

 農水相が小泉さんに代わっただけで、コメの値段が簡単に下がるとは思えませんが、石破さんとしては『コメを下げる』に自身の政権の存続を託しているのだと思います」

 

 いずれにせよ「コメの価格」が石破政権を左右させることになりそうだが、じつは江藤前農水相が、ある程度の“レール”は敷いていたのだという。

 

 前出の政治部デスクが言う。

 

「更迭された江藤氏が、備蓄米の販売ルートをJA以外に設定する新たな改革案を作り、6月から実施される予定でした。6月下旬には、遅れていた備蓄米が出回ることが予想され、ある自民党幹部は『何もしなくてもコメの価格が下がる可能性もある』とも話しています」

 

 ただし、コメの価格を下げるには別の課題もあるという。

 

「小泉氏が農林部会長時代、極端にJA側との関係が悪化していたことです。当時はJAに大胆なリストラも含む組織改革を突きつけましたが、自民農林族らの抵抗もあって、実質的に頓挫した経緯があります。

 

 コメの価格を下げるためには、コメの生産と流通に強いJAに、もう一度けんかを売ってでも、一定の改革を求める必要もあるのです。

 

 農水省はJAと太いパイプを持ち、JA関連団体が官僚の天下り先にもなっているという事実を踏まえれば、簡単ではないでしょうが、ここができなければ、期待は一気に批判に変わることになります」(同前)

 

 新農水相としての手腕が試されそうだ。

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