社会・政治
「国民民主の火薬庫」山尾志桜里氏の“仰天度胸”とは?ウォッチャーが明かす元検事の“不動心”

国民民主党からの出馬が報じられた山尾志桜里氏
5月14日、国民民主党は7月の参院選比例代表に、元衆院議員の山尾志桜里氏の擁立を発表した。
「同氏の擁立には党内でも異論が相次ぎました。おもな理由は、2017年に『週刊文春』が報じた倉持麟太郎弁護士との不倫疑惑。その後、倉持弁護士の妻は自死しました。
また、JR全線を無料利用できる議員パスを私的に使っていたことも明らかになりましたが、山尾さんは説明責任を果たしていません。スキャンダルが相次いだことから“国民民主の火薬庫”と評する人もいます」(政治担当記者)
山尾氏の擁立が発表されると、報道各社の世論調査で国民民主党の政党支持率の低下が見られた。朝日新聞社は4月の調査から4ポイント減の8%、読売新聞は同2ポイント減の11%、NHKは同0.7%減の7.2%と報じている。
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山尾氏とはどういった政治家なのか。2009年の初当選以前から山尾氏を知る、政治ジャーナリストの宮崎信行氏に聞いた。
「東京大学法学部を卒業後、検事に任官され、2006年に名古屋地方検察庁岡崎支部に着任しました。
当時、民主党は愛知7区の擁立が進んでいなかったことから、小沢一郎氏が『早急に候補者を探すように』と愛知県連に発破をかけ、小沢代表時代に副代表を務め、愛知県が選挙区だった赤松広隆衆院議員が山尾氏をスカウトしました」
山尾氏は2009年の衆院選に民主党公認で初当選。民主党は議席を伸ばし政権を獲得した。
「この選挙で初当選した三宅雪子さん、福田衣里子さん、田中美絵子さんらとともに、山尾さんは『小沢ガールズ』と称されました。法律家ということもあり政策力は抜きん出ていて、圧倒的に優秀な新人議員でした。当選後のインタビューでは『取り調べなどにおける可視化を実現させたい』と熱く語っていました。
2011年に東日本大震災が発災。民主党の復旧対応などに批判が集まり、2012年の衆院選で山尾さんは落選、民主党も惨敗して野党に戻りましたが、山尾さんは2014年の衆院選で返り咲き、当選後は蓮舫代表代行の記者会見で司会も務めました。
そして2015年8月、初当選時に語った『取り調べの録音・録画(可視化)の義務化』などが実現。このとき山尾さんは、法務委の野党筆頭理事でした」
2016年、民主党と維新の党が合流、民進党が誕生した。山尾氏は政務調査会長に大抜擢され、保育園待機児童の親が書き込んだと思われるブログ「保育園落ちた、日本死ね」を国会の質疑で取り上げ、大きな注目を浴びることになる。その翌年に、不倫疑惑が報じられた。
「不倫疑惑報道前後で、気落ちするなどの変化がまったく見られず、『ものすごい度胸だな』『ダメージコントロールができるのか』と驚いた記憶があります。検事として、さまざまな“修羅場”をくぐり抜けてきたのでメンタルが強いのでしょうか。
文春報道直前、前原誠司新代表のもとで幹事長への起用が固まっていたのですが、『続報が出る』という情報が駆け巡るなどしたため、人事は白紙になりました。結局“二の矢”はなかったのですが、このゴタゴタに乗じて安倍晋三首相は解散を仕掛けました。
離党した山尾さんですが、スキャンダルがありながらも辛勝。当選後は民進党から分裂した立憲民主党に入党しましたが、2020年には国民民主党へ移っています。
今夏の参院選の当選確率は8割くらいと見ています。2014年11月の選挙では、政治的な考え方の違いから電力総連の推薦を辞退したことがあるので、骨のある政治家であるし、波乱万丈の政治家でもあります」
参院選の号砲が鳴るまで2カ月となった。