社会・政治
小泉進次郎 “コメ大臣” 大躍進の舞台裏…推挙した “影の首相” も想定外の人気に内心ヒヤヒヤ

5月27日、参院農水委員会に登壇した小泉進次郎氏。もみあげに白い毛が混じっていた(写真・長谷川 新)
スーパーには安いコメを求める長い行列――。“備蓄米フィーバー” はいまも続いている。就任から10日ほどで「5kg2000円」を実現させた小泉進次郎農水大臣の評価は爆上がりだ。ついには「進次郎総理」を期待する声も上がり始めた。
「就任時に “コメ大臣” を自称し、コメの価格高騰に全力で取り組む姿勢をアピールした進次郎氏。以前から『農政改革』を訴えてきたこともあり、党内には “逆風” も吹いているようです。
実際、石破首相の決断に強い影響を及ぼし、“影の首相” とも呼ばれる自民党の森山幹事長は、『文春オンライン』の取材に『現場のすべてを知っているわけではありません』と進次郎氏について語っています」(政治担当記者)
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では、進次郎氏はどのように農水大臣に就任したのか。元朝日新聞政治部デスクの鮫島浩氏は意外な指摘をする。
「じつは、進次郎氏の農水大臣就任を決めたのは森山氏だと言われているんです。森山氏といえば、“農水族のドン” として農政改革には慎重な立場ですが……。
もともと、江藤拓前農相の『コメは買ったことがない』という発言が発端でした。江藤氏は農水族のナンバー3で、いわば森山氏の “子分” です。江藤氏の発言で農水族全体に対する風当たりが強くなってきたので、世論の批判を逸らすため、国民人気の高い進次郎氏の起用を発案したのです」
当初、森山氏は進次郎氏を見くびっていたという。
「進次郎氏は、2016年に党の農林部会長だったとき、菅義偉官房長官という後ろ盾がいたにもかかわらず、農協改革に失敗しています。今回も、『どうせ口ばかりで大したことはできないだろう』と森山氏はタカをくくっていたのです。
それで、備蓄米を放出して米価をちょっと落ち着かせて、一時的に政権の支持率を上げて参院選を乗り切ればいいと考えていたんです。
ところが、進次郎氏は、国民の支持を背景に『脱減反によるコメ増産』にまで踏み込むようになりました。備蓄米の放出による米価抑制までは容認していた農水族も、コメの増産には断固反対の姿勢です。
なぜなら、米価の下落は農協の経営を直撃し、農協・農水省・農水族という “農政トライアングル” の利権構造が崩れかねないからです。森山氏も、内心、想定外の大好評にヒヤヒヤしているでしょうね」
想定外の評判で、「人気取り」のために進次郎氏を推挙した森山氏ですらも危機感を抱いている様子。大躍進はまだまだ続きそうだ。