社会・政治
韓国「新大統領」誕生で注目される“ファーストレディ”の親日度「普通のおばちゃん」評も世論次第では”手ごわい存在”に

6月4日未明、大統領選で当選を確実にし、親指を立て、両手を突き上げたポーズをとる李在明氏(中央)。その右が金恵景夫人だ(写真・共同通信)
6月4日、韓国の革新系政党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)氏が大統領に就任した。
尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の政権では、妻の金建希(キム・ゴンヒ)氏が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)幹部から高級ネックレスなどを受け取った疑惑などが報じられ、失脚の大きな要因になった。韓国の政治情勢に詳しい『コリア・レポート』編集長の辺真一(ピョン・ジンイル)氏が語る。
「尹前大統領政権では、金建希夫人の数々の行動が、足を引っ張る形になりました。『内助の功に徹する』と言っていたのに、夫が大統領になった途端、しゃしゃり出てきて、どちらが大統領かわからないような振る舞いをした結果、尹氏の“自滅”を招いたのです」
【関連記事:反発集めた奈良県“2億円K-POPコンサート”予算案、9分の1に縮小されてもなお否決…知事の「理解に苦しむ」反応にやまぬ批判】
前大統領は夫人の問題で失脚したが、新たな“ファーストレディ”はどのような人物なのだろうか。
「新大統領夫人の金恵景(キム・ヘギョン)氏はソウル出身で、李大統領とは1991年に結婚。当初は専業主婦をしており、実業家として会社を経営していた金建希氏とは対照的です。金建希氏の失敗を教訓としているのか、今回の大統領選でも積極的に表に出ることはなく、ほとんど目立つ行動は見られませんでした。女子大のピアノ科を卒業しており、政治よりも音楽という感じ。これまでもほとんど政治的な発信などはしていません」(辺氏)
現地での評判も同様だ。ソウルの携帯電話会社に勤務する50代の韓国人男性によれば、「有権者の間では、新大統領の奥さんは『普通のおばちゃん』という認識が大半です」という。
これまで、韓国では「反日」を意識した政策やパフォーマンスが、世論へのアピールとして用いられてきた。今回の大統領選では、尹大統領との差別化のため、李大統領は選挙中に反日路線から「親日」路線へ方針転換していた。大統領就任後はまた方針を転換する可能性もあり、金夫人の“親日度”が重要になってきそうだが、その点はどうなのだろうか。
「基本的には、いまの韓国の『普通のおばちゃん』は、日本に対して特別な感情など持っていません。それは金夫人も同じだと思います。逆にいえば、夫の李大統領を支えるため、世論に合わせて簡単に意見を変えることもありえます」(前出・ソウル在住の男性)
しかし大統領選直前の2025年5月、旧日本軍の元慰安婦で社会活動家だった李玉善(イ・オクソン)氏が死去した際、金夫人は弔問に訪れている。そこで「日本からの謝罪を受けられずに亡くなられて、とても残念です」と発言したことが、韓国では報じられているのだ。
もともと李新大統領は対日強硬派として知られ、「共に民主党」の公約には「強制動員・日本軍慰安婦関連資料の構築を拡大する」が掲げられている。韓国の世論次第では、夫よりも手ごわい存在になる可能性も否定できないのだ。