社会・政治
参院選目前「消費税減税」野党がうたうなか自民・森山幹事長「慎重に」発言がネットで“炎上”

自民党の森山裕幹事長
7月の参院選に向け、物価高対策として野党はこぞって「消費税減税」を打ち出している。
「立憲民主党は、2026年4月から食料品の消費税率を原則1年間に限りゼロにする減税案を発表、国民民主党は物価上昇率プラス2%の賃金上昇が安定的に実現するまで、一律5%に下げるべきだとしています。日本維新の会は、食品にかかる消費税を2027年3月まで撤廃することを打ち出しました。
しかし、消費税を下げたことによる減収分の財源があやふやなため、国民も判断に迷っています。日本経済新聞社とテレビ東京が5月23~25日におこなった世論調査で、消費税減税について聞いたところ『社会保障の財源を確保するために税率を維持するべきだ』は55%。『赤字国債を発行してでも税率を下げるべきだ』の38%を上回る結果になりました」(政治担当記者)
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こうした野党の動きがあるなか、自民党は一貫して消費税減税に反対している。
石破茂首相(自民党総裁)は6月6日の衆院予算委員会で、「(消費税が)『好きです』という人はいないが、安定的に社会保障の財源に充てられる意味合いは軽視してはならない」と、減税に否定的な答弁。現状の税率についても『諸外国と比べてかなり低い』としている。
「自民党幹部からも、相次いで同様のコメントが出ています。6月7日、鈴木俊一総務会長は岐阜市の講演で、野党の消費税減税策について『耳ざわりのいい、まったく無責任なポピュリズムの政党だ』と批判しました。8日には森山裕幹事長が徳島市での会合で『消費税の減税は、慎重が上にも慎重であるべき。新しい財源がいまはない』『歳入が減った分をどこに財源を求めるのか』と語り、財源として赤字国債を発行することには『いまは金利のある時代。財政収支をバランスよく考えないと、日本の国債が国際的な信任を失うことにもなる』と発言しました」(同前)
この「森山発言」がYahoo!ニュースのトピックスに掲載されると、1万を超えるコメントが寄せられ“炎上”する事態に。多くは
《「財源がない」のではなく「財源を見つけようとしない」、「端から減税する気がない」なのだと思います》
《過去最大税収で、お金がないという言い方はおかしいと思います》
《支出を見直そうという発想に至らないのが不思議でしょうがない》
など、批判の書き込みだった。
森山氏は炎上を覚悟でこの発言をしたのか。政治アナリストの伊藤惇夫氏に聞いた。
「森山氏は自民党税制調査会のインナー(幹部)ですから、正解かどうかは別にして、発言が財務省寄りになることはありました。
今回、野党が主張する『消費税減税』については『本当の意味での財政政策論ではない』という気持ちがあるため、強い口調になっているのでしょう」
ではこのまま自民党は、消費税減税に舵を切ることはないのか。
「ないでしょう。党内の参院選改選組から『減税しろ』と要望はありますが、そもそも野党が言い出した減税政策です。いまさら乗れないし、(減税に転換しても)選挙にプラスにはなりません」(伊藤氏)
参院選挙の公示までおよそ1カ月。闊達な政策論争を期待したい。