社会・政治
自民党の物価高対策「現金給付」に見透かされる“選挙バラマキ”の不信感「消費税減税」求める国民の声殺到するも響かず

APECに出席した石破茂首相(写真・JMPA)
7月20日投開票が有力視される、参議院議員選挙を目前にしての“バラマキ”かーー。
6月9日、自民党は夏の参院選の公約に物価高対策として、所得制限なしで国民ひとり当たり数万円の現金給付を盛り込む方針を固めたなどと、報道各社が伝えた。
また、自民党と連立政権を組む公明党の斉藤鉄夫代表は、9日、福岡市で講演。給付についてマイナンバーカードを所持する人に「マイナポイント」で付与することを中心に、マイナカードを持たない人には現金で対応するとも説明し、今後、自公での協議が続けられるようだ。
自民党ベテラン秘書が言う。
「2025年4月にも、公明党と現金給付について検討しましたが、『バラマキだ』という批判が起きたため、見送られました。しかし、6月5日に厚生労働省が発表した2025年4月の実質賃金は、前年同月比1.8%減となり、4カ月連続でマイナスとなりました。物価高に賃金上昇が追いついていない状況が続くなかで、参院選を前に、国民からの批判を少しでもかわすためにも、『バラマキ』批判を見越したうえで、やむにやまれず現金給付を決めたのだと思います」
目前に迫る参院選での、自民党の情勢も影響しているという。
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「自民党の改選議席数は52ですが、党が4月11日から13日に実施した情勢調査では、獲得議席予測は47でした。5月16日から18日の調査では、2議席増えて49となっているものの、いまのところ減る予測になっているのです。何もやらないよりも、やるほうがまだましということです」(同前)
このニュースに、Xには《コストかけてバラマキ現金給付するより、消費税を減税すればいい話だと思いませんか?》《一律数万円って~選挙の為のバラマキだよネ!国民ナメられまくり まずは減税と社会保険料を減らすべきじゃネ!》などと、減税に期待する声が多くあがっているほか、《物価高対策は物価を下げる政策を執るのが正解であるのに、物価を上げながら物価高対策とか、アホの極み。》といった辛辣な意見も出ている。
また、公明党の斉藤代表がマイナポイント給付を軸に打ち出したことについては《マイナポイントはお年寄りには使いこなせない。》《マイナカード持ってないし》など、マイナカードありきの給付に対する不満の声もあがっている。
政治担当記者が言う。
「現金給付は配ればそれでおしまいですが、消費税減税となると、一度下げたら、元に戻すために上げることが難しいと自民党執行部は考えています。上げるときに国民からの大批判が起こりますからね。その場しのぎ感は否めないですが、何もしないよりはマシということなのでしょう。
参院選対策であることが、国民の多くから見透かされています。2012年12月の総選挙で自民党が圧勝し、3年3カ月ぶりに政権復帰して以来、12年半が経ちました。その間、物価高以外にも社会保障費の負担は上がり続け、一部の富裕層を除いて、国民の暮らしは一向によくならないことに不満がたまっています。そして、いまは政権を担当してきた自公に対する怒りがなかなか収まらない状況です。小手先の対策では、何をやっても“裏目”に出てしまう恐れがあります」
10日、自民党の森山裕幹事長と公明党の西田実仁(まこと)幹事長が会談した。給付は現金などで対応する方針を確認し、両党は参院選の公約に盛り込む予定だという。
「数万円の現金給付」という自民党と公明党の新たな選挙公約は、国民にどう受け取られるのだろうか。