社会・政治
社民・福島みずほ氏 「羊文学」塩塚モエカの歌詞に共感「違和感を大事にする真摯な人」【国会議員の“自分応援”ソング】

「塩塚モエカさんには社会的な視点を感じます」と福島みずほ氏(写真・保坂駱駝)
テープがすり切れるほどリピートした曲、厚い“壁”にぶつかったときに聴いた曲――。音楽好き政治家に聞いた「自分のための応援ソング」。社民党党首・福島みずほ参院議員の一曲は、羊文学『夜を越えて』だ。
「大学入学を機に上京し、特に聴いたのは森田童子や中山ラビといった女性シンガー。2人とも亡くなってしまいましたけど、新宿ロフトなどで観ましたね。それから山崎ハコとか中山千夏も。中山さんは今は伊東に住んでらして、このあいだお訪ねしましたよ。
最近、夢中なのは羊文学です。きのこ帝国(※同じく女性主体のバンドで19年に活動休止)の流れから、初めて聴いたのは2021年ぐらいかな。アニメ『平家物語』の主題歌『光るとき』を聴いて、《最終回のストーリーは初めから決まっていたとしても》という歌詞に、日本学術会議法案など悪法が罷りとおる時代に、最後まで抵抗する社民党や、私のことを歌ってくれているみたいだ、なんて思って(笑)。
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リーダーでボーカルの塩塚モエカさんの歌詞からは、社会的な視点が感じられるんです。決して断定せず、自分を客観的に見ており、それでいて深く内面を掘り下げています。『砂漠のきみへ 』も好きな曲で、まったくガツガツせず、だけど聴き手に寄り添う優しさを感じます。『祈り』は突き放すような歌詞にハッとさせられるけれど、その行間から “それでもあなたのそばにいる” と読み取ることができるんですよ。
塩塚さんは日常で誰もがふと抱く、違和感を大事にする真摯な人なんだと思うな。自分を見つめる力が強く、月並みな言葉で解決しようとしません。まるで、シャーマンのような存在に感じられることがあるんです。そこは先ほど名を挙げた、女性シンガーたちに通じる面もあるかもしれませんね。
そんな羊文学らしさがもっとも表われているのが『夜を越えて』。言われるがまま、 “ぶりっコ” させられていた女のコが、モラハラ彼氏と訣別するまでを描いた「フェミニズムの歌」ですよね。でも、曲の最後では、笑っている女のコの顔が浮かぶ。そこに共感するんです。塩塚さんも、曲を終えた後、照れたように笑ったりする。めっちゃかわいいなって思いますね(笑)」
福島みずほ
宮崎県延岡市出身 東京大学法学部卒業後、弁護士として選択的夫婦別姓や婚外子差別の撤廃などに取り組む。1998年に初当選し、2009年には内閣府特命担当大臣を務めた
取材/文・鈴木隆祐